「あなたはあなたのままでいい」。存在を全肯定する珠玉の言葉集、ついに登場!『ただ生きていく、それだけで素晴らしい』/五木寛之著(PHP研究所)


ようやく、皆様のお手元にお届けできることができます!
お手伝いさせていただきました五木先生の新刊、『ただ生きていく、それだけで素晴らしい』、刊行されました!!
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お手伝いさせていただくのは『私訳歎異抄』『自分という奇蹟』に続きまして今回で三冊目なのですが、実は、先生が本当にお忙しいので、企画が立ち上がってからこの刊行まで約3年ほどかかってしまいました。ですので、なんと言うかもう、感無量。
とはいえ、大好きな五木先生にお目にかかるという名目があり続ける、というのはこの上ない幸せで、この三年間、個人的には至福の時でした。

そうなんです。
大変私的な告白で恐縮ですが、私は五木寛之先生が大好きなのです。

子供のころからご著書を拝読して、その見識の深さに憧れ、特に仏教に関して、日本人の心性についての先生のご本には、たいへん影響を受けています。
ですので、はじめてお目にかかった時には緊張して、ただ上ずったようなお返事をするので精いっぱいでした。本当は、申し上げたい言葉が胸いっぱいに詰まっているというのに、何も言えず、編集長の影でひたすらメモをとり続けるしかない私。そんな挙動不審な私に、先生は優しく微笑みかけ、「ムトウさんは今までどんな仕事をしてきたの?」と聞いてくださいました。
私は、アワアワしながらこれまでの仕事をのことなどざっくり申し上げますと、また柔らかに微笑んで、「そう、…ちゃんとがんばってきたんだね」と言って下さったのです。

こんな風に書くと、あまりにも普通のやりとりに思われるかもしれません。
しかし、先生がこの優しい言葉を、絶妙な間でおっしゃるともう、ものすごく特別な丸みを帯びて、こころにスルッと染み入るような言葉になってしまうのです。

本当に、本当に、すごいんです、ほんとに!
正直言ってこの時、思わずこみ上げるものがありました。
ああ、頑張ってきて本当によかったなあ、なんてありがたいんだろう、そんな感動で鼻の奥がツウンとしてしまい…。先生に受け止めていただけたような、私という存在を肯定していただいたような、そんな思いで胸がいっぱいになってしまったのでした。

本書の中でも、「面授」という言葉が出てきます。元は仏教の言葉で、師が弟子に面と向かって仏の教えを伝えるといった意味なのですが、先生はその言葉から、人と会うことの貴重さを説いておられます。私は本書を通じて、まさに五木先生という偉大なる師の面授をいただいた、と僭越ながら感じました。

『蒼ざめた馬を見よ』、『風の王国』、『生きるヒント』、『大河の一滴』、『親鸞』などなど、先生が描かれてきた作品のテーマは多岐にわたりますが、実は、その中心には、ずっと変わらない大きなテーマが流れている、と思います。それは――こころ、いのち、人生、生と死、――ではないか、と思うのです。
先生がずっと対峙してこられたこれらのテーマは、すべての人にとっても大切なテーマではないでしょうか。本書は、そのテーマを改めて分かりやすくまとめてくださった、そんな一冊になっているように思います。

そして、先生が「ここのところ、特に皆さんに言いたいことだよ」、と言っていた言葉がそのままタイトルになっています。

『ただ生きていく、それだけで素晴らしい』

何かを成し遂げなくても、誰かに評価されなくても、「生きている」それだけでもう十分。いのちとはあり得ないような奇蹟的なバランスでこの世にある、そのことをもっと気付いてほしい。
先生は、このことを何度も何度も、繰り返しおっしゃられていました。

その言葉を伺っていて、担当編集のNさんも私も、そしてPHPさんの営業の皆さんも、タイトルはそれしかない、とそう思ったのです。そして先生も「僕もそう思うよ」と言って下さいました。

今必要なのは、悲しみや涙をも内包しつつ、それでも、だからこそいのちを肯定していくそんな言葉なのではないか、そんな風に強く感じています。

本書を通じて、皆さんも、私が先生の言葉に肯定していただいて泣きそうな気持ちになった、そんな言葉を見つけていただけたらいいな、と思います。

ぜひ、お手に取ってみてくださいまし!

そして最後になりますが、本書のお仕事を振ってくださったN編集長さま、そして担当してくださったN副編集長さま、本当にどうもありがとうございました!!

(むとう)

25万部突破シリーズ、第七弾登場!あの名医・聖庵先生の過去が明らかに!?『本所おけら長屋(7)』/畠山健二著


畠山先生渾身の書下ろしシリーズ、『本所おけら長屋(7)』第七弾いよいよ発売です!!
発売日は9/10。少々フライングですが、ご報告させていただきます。

今回もさすがは畠山先生、いつもながらの笑いも涙もモリモリ、そして新しい試みてんこ盛りです。

最も大きな新展開は、お江戸を飛び出す一篇「あまから」でしょうか。

これまではお江戸の中でのお話でしたが、第五話「あまから」は本所を飛び出して、江ノ島が舞台になっています。しかも、火盗改と鉄斎さんが出張って、大捕り物が繰り広げられちゃいますよ~!

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そして、今回読者の一人として、個人的にはまってしまいましたのは、第二話「ひだまり」です。

長年、おけら長屋を支えてきた名医・聖庵先生。くちは悪いけど人情溢れるお人……。しかしその実像は謎でしたが、今回それが明らかになります。
やはり、というかなんというか、もう、ものすごい苦労人なお方だったのですよ、聖庵先生。だからこそ……

いや~、もうこれ以上お話ししますと、ネタバレになってしまいますので、ぐっとこらえます。

でもですね、なんと申しますか、とても切ないです。大人になればなるほど、切なさが増すような気がします。編集として、びしっと読まなくてはいけない、と思いながらも、何度読んでも目頭を熱くしてしまっておりました。

……改めて、おけら長屋は読む人によって、ぐっとくるお話が違うんだろうなあ、と感じます。今回私にととっては「ひだまり」でしたが、ひょっとしたら、その時の精神状態によっても変わるかもしれません。ぜひ、みなさんのぐっとくるお話を探してみてくださいまし!

そしてそして。

今回は発刊を記念いたしまして、9/15、八重洲ブックセンターにてトーク&サイン会が開催されます!!
ご存じの方も増えてきていると思いますが、実は畠山先生はトークの名手です。
さらに、立川談慶師匠も高座をしてくださいますよ~!めちゃくちゃ楽しい一夜になること間違いなしです。贅沢!

ぜひ「リアルおけら長屋な世界」を体感しに来てくださいね~!

畠山健二 先生トークショー&サイン会 with 立川談慶
(八重洲「本書く派」寄席 番外編)

http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/10142/

(むとう)

若き日の半藤先生、日本の黎明期の心を詠う「万葉集」を読み解く!『万葉集と日本の夜明け』/半藤一利著


半藤先生のご本をお手伝いさせていただいて、今回でなんと四冊目。

これまでは、太平洋戦争や昭和史といった半藤先生ならではのテーマが多かったのですが、今回はちょっとこれまでのご本とは雰囲気が違います。

なんと、今回は「万葉集」です!
ど真ん中、正統文学のかほり!

昭和史の大家としてあまりにも高名で、歴史家として硬派な印象の強い半藤先生ですが、実は学生時代は東京大学文学部国文学科所属。卒業論文は、なんと『堤中納言日記』という生粋の文学青年だったことはあまり知られていないかもしれません。

知られていない、…というよりも、先生もこれまであまり声を大にして言ってこなかった事実、というべきでしょうか。大学を卒業して、編集者として活躍しながらも、短歌を愛し、歌人として活動もされていた、ということも多くの読者はご存じないのではないかと思います。

本書は、そんな若き歌人としての半藤先生が、愛する『万葉集』を前に、ワクワクしながらづつった文章を中心にまとめたものです。万葉集がもつ日本の黎明期・青春期そのものの力強さと、先生ご自身の若々しい躍動感があいまって、素晴らしい一冊となりました。

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ご存じのように、万葉集は日本最古の歌集です。特に日本史上、この歌集が際立っているのは、上流階級の歌だけでなく、庶民の歌も広く収録しているところででしょう。

先生も、やはりそのような歌の数々――東歌、防人の歌に特に愛情を向けられ、読み解いてくださいます。とはいえ、半藤先生ブシは、健在。
東歌や防人歌を通して、古代の日本、そして当時の東アジア情勢を見事に読み解いてくださいます。そこは、やはり「歴史探偵」の面目躍如です。

「『万葉集』は「日本人の心のふるさと」という。しかし『万葉集』は遠い風景をうっとり眺めるようにみるのはむしろ間違い。時代を越えてわたくしたちといまも一緒に生きられる、いや、現に生きているトナリの人々、それが万葉びとなのである。」(本文より引用)

歴史上の人だから、昔の人だからといって崇め奉るのではなく、同じように生を生きた人間として、万葉びとの言葉を味わう。その言葉から、心情を慮り、その時をどう生きようとしていたかを推理する。古代史を庶民の言葉を突破口に、読み解いていく手法は、歴史探偵ならでは。万葉集をお好きな方だけではなく、古代史好きな皆さんにも、ぜひともお勧めしたい内容になっています。

そして、後半部ではご自身が中国を旅した際の旅行記を採録しています。万葉の時代、中国は唐の時代です(正確に言いますと、則天武后の代なので、武周)。先生は、万葉の歌人として有名な山上憶良に仮託しつつ、唐の時代に思いをはせます。

唐の時代、万葉の時代。
ダイナミックで、国際色豊かな時代の風が、ふうっと香り立ちます。

この時代は、何とも言えず、良いですな~。
この頃の仏像も建造物も、精緻でありながら何とも言えず大らかですね。
時代の空気というのは、その時代すべてのものに自ずと現れると思いますが、万葉集や唐の詩人たちの詩にも共通する豊かな息遣いがありますね。
先生の旅行記を拝見すると、そんな息遣いを感じることができます。

半藤先生のファンの皆さんはもちろんですが、古代史好き、万葉集・短歌好きのみなさんにも、ぜひ、お手に取っていただけたらと思います!

(むとう)

特集「外国人トラベラーにも教えたい 新しい日本の秘境」@『BE-PAL9月号』(小学館)掲載


私は、フリーになる前、とあるアウトドア出版社に在籍しておりました。
その出版社は山やアウトドアの業界では老舗であり、また山や自然を愛する人たちがたくさん在籍されている素晴らしい出版社です。やめてしまった今でも、尊敬してやまない、そして、そこに少しでも在籍させていただいたということを誇りに思っているのですが…。

……しかしですね。

ここで、大きな問題が生じます。自己紹介なんかをするときに、「フリーになる前何やってたんですか~?」という質問が、必ずあるんですけど、その出版社にいましたなんてお話ししますと、私もアウトドアなことが上手な人だ!と思われてしまうということです。

す、すみません。
私、アウトドアなテクニックとか、まるで持ってないんです……。

――この、台詞、いったい何回言ったことでしょう。

あああ、情けない。
自然は大好きだし、旅も大好き。しかし、何の技術もないワタクシ…(涙)。

でも、そんなワタクシではございますが、なんと、小学館の老舗アウトドア雑誌『BE-PAL』さんで、書かせていただいちゃいましたよ~!
アウトドアな知識のない私で大丈夫でしょうか?という私でしたが、
「日本の秘境にかんする企画とか興味ない?」とお声かけていただいて、「あ!それなら私でもちょっとどうにか貢献できるかもしれない!」と思い、飛びつかせていただきました。

20160810-1今月の付録は、今年から施行されます「山の日」を記念したピンバッチですよ~。

そして私が担当させていただいた特集というのは…

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↑ これどす!

「秘境」。

なんて魅力的な言葉でしょう。

とはいえ、これだけ交通網も、インターネットも発達しつくしている日本です。「もう日本には秘境はない」なんて言われて久しいわけですが、今回はあえてこの言葉を使わせていただきました。

本文には書きませんでしたが、今回ご紹介した「秘境」とは、
「多様な自然から生じてきた『日本の文化の本質』を今も秘めている場所」
そんな意味も込めておりますのです。

トップページは、「白山(はくさん)」。そしてその次には「檜枝岐(ひのえまた)」と続きます。

どちらもたいへん有名な場所ですので、皆さんご存じとは思いますが、「外国人トラベラーにも教えたい」というコピーにあるように、こちらはいずれも、日本文化の「深み」の一端を感じていただける場所として、ぜひともお勧めしたい場所です。

他にご紹介した場所の一部をご紹介しますと、西表島、赤目四十八滝、国東半島、出羽三山…などなど。
いずれも日本ならではのもの~山岳信仰、祭り、固有種生物、風景など~を体感できる場所!

どこもかしこも、素晴らしい場所ばかりです!
いやあ、ほんとに!!

私の拙い文章で、そのことを皆様にお伝えできているか、とても不安ですが、もしよかったらぜひお手に取ってみてください!

それにしても、このお仕事をやらせていただいたら、
またもっともっと旅に出たくなってしまいました。罪な企画です!w

最後になりますが、今回取材させていただきました皆様、お写真を貸してくださいました皆様、おっ力添えいただきまして、誠にありがとうございました!
そして担当してくださったN副編集長さま、カメラマンMさま、Oさま、そしてO編集長さま、編集部の皆さま、拙いお仕事でご心配をおかけしたと思いますが、本当にありがとうございました!

(むとう)

松下幸之助氏が「美しい経済人」と呼んだ経営者、大原總一郎氏の鮮烈な生きざま!『天あり、命(めい)あり』/江上剛著


倉敷へ行きますと、素晴らしい街並みと共に大原美術館の素晴らしさに驚きます。

と、言いましても私が倉敷を訪ねたのはもう、10年以上前の話ですが、正直言ってあれだけの美術館があの場所にあることに、さらに私立であることに本当に驚きました。

そして、大原美術館を設立した「大原孫三郎」という人物が、あの「クラレ」(の前身・倉敷絹織)創業者である、それくらいのことは初歩情報として知っていましたが、そのあとを継いだ人物「大原總一郎」が、あの過酷な戦中・戦後を乗り切った、まさに「魂の」経営者であることを知ったのは、本書の編集をお手伝いさせていただいたことがきっかけでした。

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私は本書を拝読して、

「ああ、こんな理想を語る経営者の会社なら、ぜひとも働いてみたい」
そう思いました。とにかく、「志」が高い方なのです。

私は以前から、経営者に必要なのは「志」なんじゃないか、と僭越ながら思っております。自分がサラリーマンだったときもいつもそう思っていました。
経営者じゃなくても、上に立つ人、と言ってもいいかもしれません。上に立つ人が志を持てば、各分野のスキルのある人物がそれを支えることもできます。そこさえブレなければ、困難できつい道もどうにか突き進むことができる。そう思うのです。

理想主義者だと、きれいごとと言われてしまうかもしれないけど、どうかやらせてほしい、ついてきてほしい、そういうことを部下にいいながら、誰よりも働き、実現させました。……そして、あっという間に天国へ行ってしまった。

松下幸之助さんが「美しい経済人」と呼んだことの意味が、とてもよくわかります。

そして、なんといっても江上先生。先生の誠実で温かい筆致は、まるで本当に大原總一郎氏がそこで語っているように感じられます。

本書は「経済人ノンフィクションノベル」ですので、経営に興味のある方はもちろんですが、経済に興味がない人もぜひ読んでみてください。

58年の人生を生き切った、一人の「美しい人」の人生を知ることで、何か心にあつい勇気が生まれてくるのではないか、と思います。

(むとう)

終戦のあの時、いったい何が起こっていたのか。「今の日本」の始まりを知るための絶好の一冊、登場!『マッカーサーと日本占領』/半藤一利著


戦後71年目を数える今年。
昨年は70年ということで、新刊のラッシュに加え、『日本の一番長い日』が映画化され、年末には菊池寛賞の受賞と、大忙しだった半藤一利先生。
年が明けて、いよいよこちらの本書も刊行とあいなりました!
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半藤一利先生のご本をお手伝いさせていただいて、なんと三冊目。単行本としては初めてになります。

これまでは、どちらかというとエッセイ的でしたが、今回はかなりずっしりとしたテーマです。
正直言って、「マッカーサー」「日本占領」なんてど真ん中のテーマを、私なんぞで大丈夫かと危ぶみました。しかし、そこは長年ご担当されてきたO編集長がいらっしゃるので、大船に乗った気持ちで、でもコマゴマビビりながらお手伝いさせていただきました。

そんなわけでしっかりずっしりながらも、そこはさすがの半藤先生。とにかく読みやすい&わかりやすい!
「あの時」の、マッカーサーと昭和天皇のやり取りなどから、マッカーサー、昭和天皇がどういう人であったのかを、知ることができますし、
改めてあの敗戦を見てみると、その凄まじさに改めて驚くとともに、その後に起こった様々なことが、本当にすれすれ、紙一重の決断や成り行きによって決まっていったのだ、ということがとてもよくわかり、改めて肝が冷えます。

そして、もう一つ、やはり本書のポイントは、カバーにも使われている「写真」かと思います。(巻頭には写真が24p載ってます!)

カバーのカラー写真、拝見してその状態の良さに驚きました。フィルムの退色がほとんどなく、とても70年前のものとは思えないほどクリアなんです。
だからこそ、この生々しい表現につながるんですね。

何の説明もなくこの写真を見たら、今現在、戦災などでダメージを受けたどちらかの国で撮影されたものと思ってしまうかもしれません。

先生と編集長が、この衝撃的な写真をカバー写真に決められたと教えていただいた時、私は思わずうなってしまいました。
元々は、マッカーサーの顔写真を…なんてお話もあったのですが、それがこちらで決定というのは、ものすごい方向転換とも言えます。

マッカーサーを軸にした本でありながら、この本の主役は被災した名もない日本国民なのではないか。先生はそれを示すためにこのお写真を選ばれたんじゃないか……と、そんな風に想像して、思わずうなったのです。

あの時、日本人はみんな、こうした状況だったんですよね。履くものもなく、着るものもなく、焼け跡になってしまった愛するこの地を呆然と眺める。そんな状況です。

そして、それは、一見遠い風景のようでありながら、決して遠いことではないのですね。
わたしたちが生きているこの社会は、「あの時」定められた方向性の上に成り立っているのです。

良い悪いではなく、まずそのことを知らなくてはならない、そう痛感します。

例えば、憲法についても、
「日本国憲法は、アメリカに押し付けられたものだから、我々の憲法ではない」
そういった言説をよく聞きます。

確かに、日本国憲法は、日本人だけで作ったわけじゃありません。アメリカの、というかマッカーサーの意図が大きく働いたことは間違いないでしょう。
しかし、第二次世界大戦という途方もない戦争を経て、もう今後戦争なんて言う馬鹿げたことをしてはいけない、マッカーサーを始め、そう痛感した人たちの思いが――当時の時代を代表する大きな痛感が、人種を越えてあの憲法に結晶化したってことじゃないのか……そう感じられるのです。

「歴史を勉強する意味なんてあるの?」
歴史が好きだというと、そんな風に聞かれることがありますが、私は意味があると思います。歴史を知るということは、「今」が、「なぜ」「どうして」こうなっているかを知ることです。

本書はもちろんオススメなのですが、一緒に半藤先生の『昭和史』も読んでみてほしいと思います。

こちらは、太平洋戦争以前から、戦後の復興までの流れを知ることができます。(戦後篇ではそのあとも知ることができます!)
『マッカーサーと日本占領』はどちらかというと「点」です。特に戦後の5年間、マッカーサーという人をたどることで、その時の日本が見えてきます。
一方、『昭和史』は「線」です。流れの中で、その時の日本を知ることができると思います。

今まさに、熊本・大分地震が発生し、多くの方が被災しています。
災害も多く、国内外に課題が山積している日本に生きている私たちです。あの未曾有の大惨事、何が起こり、大先輩たちがどう対し、乗り越えようとしたのかを学ぶことは、必ず意味があると私は思います。

是非、お手に取ってみてください!

(むとう)

過酷な運命の最中にも、その清冽な魂は凛として輝く!――信玄の末娘・松姫の一生を描き切った傑作歴史小説、登場!『疾風に折れぬ花あり』/中村彰彦著


文芸雑誌『文蔵』さんの連載をお手伝いさせていただいてから、約三年。
思い返すも楽しい日々でした。毎月毎月、一番初めにお原稿を読めてしまうんですもの!これぞ、まさに編集の役得ですね!幸せとはこのことです!!

そして、いよいよ。
この時がやってきた~!!と、躍り出したいような気持で一杯です。

中村彰彦先生の『疾風に折れぬ花あり』

とうとう発売されました!

装丁がまた素敵ですよね!?
華やかで女性らしさがにおい立つようなデザインです!
そして同時に、中村先生のお作らしい重厚さもしっかりと兼ね備えていますから、中村先生の往年のファンの男性も、きっとためらわず手をのばしてくださることでしょう!
こちらはあの菊地信義さんのデザインですよ!さすがとしか言いようがないです。

そして、装画は日本画家として活躍されている宝居智子さんです。ステキな日本画ですね。
特にこの手の表現!ご覧ください!
八重桜の花びらが舞い落ちるのを夢見るように見上げてます。そして自然と指先が追いかけている。そしてその指先は、まるで花弁のようにピンクに染まっているのです。
いや~、眼福眼福。

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実は、この「桜」。本書にもとても大切な場面で登場します。

ちょっとネタバレになっちゃうかもしれませんが、本書の主人公、松姫さんは武田家が滅んでしまうことで、とてつもなく過酷な人生を歩むことになります。

その過酷な人生を、ともに歩んでくれたとも言える小袖があるのですが、その銘が「桜花(おうか)」というのです。桜色のとても美しい小袖です。
「桜花」は、大好きなお兄さんの奥さんが形見としてくれたもの。この「桜花」、これぞという時に松姫さんを導いてくれるような、そんな存在に思われるのですね。

名門のお姫さまだった世間知らずの松姫さんが、三歳の女児3人を育てながら、出家し、戦国の世を生き抜いていく。
何度も何度も絶体絶命といった場面がたち現れます。しかし、松姫は、涙ぐみながらも決して逃げません。一見たおやかで、素直で優しげなのですが、こころが強くなければ生き抜くことは、到底無理だったでしょう。

***

どんな人生でも、生きていくということは山あり谷あり。
楽な人生なんてないんだな、……と40過ぎて、ようやく実感を持って分かってきました。
突然ウソのような幸運が舞い込むこともある。想像を絶する不幸が襲い来ることもある。

そうしたことが起こった時、それをどう乗り越えていくのか、切り開いていくのか、それによってその人の魂のありようが見えてくるように思うのです。

とてつもなく過酷な状況の中でも、魂の輝きを失わず、まるで暗闇の灯火のように、蓮の花のように静かに生き抜く人が確かにいた――。

中村先生は、いつもそんな素晴らしい魂を、歴史の中から掬い出して、私たちに見せてくださるような気がします。

本書の主人公、松姫然り、そして保科正之公もそうです。
あれだけ魅力的な人物がいたことを、私は先生の小説で知ることができました。

そうそう、保科正之公も、本書で登場しますよ!健気でかわいらしい少年の幸松君として、ですけどね。ぜひ、お手に取ってみてくださいまし!

そして最後になりますが、中村彰彦先生、そしてN編集長さま、Y副編集長さま。
ご一緒させた時間は何もにも代えがたい、私の宝物です。
至らぬことも多々あったと思いますが、本当に素晴らしい時をありがとうございました!

(むとう)

文七・お糸がいよいよ祝言?!今回のおけらは春爛漫!!ますます絶好調の大好評シリーズ第6弾登場。『本所おけら長屋(六)』/畠山健二著 


お待たせいたしました!
早いもので今回で六巻目!
私が編集のお手伝いをさせていただいてから今回で5冊目です。早いものですね。

今回も、泣いて笑って笑って泣いて…。
「失敗しても、欠点があってもいいんだな。どんな人でも、そこにあるだけでもう意味があるし、面白いんだ」。
おけら長屋を読むと、いつもそんな風に思わせてくださいますが、今回もそんな畠山先生ブシ――”怒涛の人間賛歌”、ますます冴えわたっておられますよ!

さて、今回も全部で5つのお話、どれもこれも泣いたり笑ったりで大忙しですが、特に注目なのは、おけら長屋のアイドル・お糸ちゃん(20歳)と、左官の若き親方・文七さんの祝言ですね!

第四巻で、紆余曲折ありながらも、どうにかこうにかお互いの気持ちを告げ合い、結婚を約束した二人。前巻では祝言のお話はなく、一巻持越しの祝言とあいなりました!
お待ちかねの皆さんもたくさんいらっしゃると思いますが、今回も、おけら長屋はやらかしてくれます。めちゃくちゃな展開に、一時はどうなることかとはらはらしながらも、最後はやっぱりジンワリ胸が熱くなって…。あまり言いすぎますと、ネタばらしだと怒られてしまいますので、この辺に…。

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それから、今回第一話「しおあじ」では、お染さんの過去が語られますが、これがまたなんともいい感じですよ!
今回、個人的には大好きなお話です。ますますお染さんを好きになってしまうこと請け合いです。

過去と言えば、第二話の「ゆめとき」では、万造の過去が明かされます。万造は桜が好きじゃないのですが、それには深い深いワケがあるんです。
万ちゃんは、いかにも江戸っ子の、明るいハチャメチャ男ですが、実はなかなか切ない過去を持った人です。シリーズの中でも人気の高い第二巻「まよいご」で、捨て子だったことをがすでに語られていますが、今回は養父の秘密が明らかに…。

そうそう、第三話「とうなす」では、意外にも女性ファンが多い「八百金」こと金太にも、縁談が舞い込みますが、まあそうはうまくいかない、…というより、またおけら長屋のお節介が始まります。

…と、内容についてはこのくらいで。
あ、そうそう!今回のカバーは、満開の桜です。帯には「きっと小さな春が来る!」とありますが、本書を読みますと、そんなあったかい気持になれると思います。

ぜひぜひ、お手に取ってみてくださいね~!

(むとう)

常に「今」を出発点に生きる方法とは!?『ないがままで生きる』/玄侑宗久著(SB新書)


仙厓 無法の禅』で編集をお手伝いさせていただきました玄侑宗久先生の新刊が、SB新書さんより刊行されましたので、ご紹介させてください!

実は、本当にちょっとだけお手伝いさせていただきました。
お手伝いというのもおこがましいほどちょっとのことなのですが、さすが情け深い玄侑先生。まえがきに私の名前も入れてくださってます。
そうした先生と担当編集Mさんのお心遣いが本当にありがたくて、胸がいっぱいになってしまいました。ありがとうございました!

さてさて、そしてこちらがその新刊です!
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今回のご本は新書。『ないがままで生きる』というタイトルがステキですね~!

本文のほうではユーモアたっぷりのイラストもそこかしこに配置されていて、とてもキャッチーで読みやすいですよ。

さて、皆さんも、きっとこのタイトルに使われている「ないがまま」とは一体何なのか、気になっていると思います!

実際には読んでいただくのが一番面白いと思いますし、ネタバレになっちゃうかなと思いつつ、「ないがまま」という言葉についてだけ、ちょっとだけご紹介しちゃいますと……

「あるがまま」ということはよく言いますね。あるがままでいいんですよ、なんて言います。
しかし、先生は、そこを一歩踏み込むのです。

「あるがまま」ということは、すでに「在る」という状態がないと成立しません。
あるがままとはつまり、「『ある』ということをそのまま認めていいよ」、そんな意味かと思うのですが、では、「ある」と思えない場合、「ある」と自分で肯定できない、そんな人はどうしたらいいんでしょうか。

なるほど、そういう時ってありますよ。
たとえば私の場合。

失敗ばっかりやらかして、情けなくて恥ずかしくて、自分に何か「ある」なんてとても思えないとき。
自分にあるとしたらそれはマイナスのことばかりで何も肯定できない、そんな精神状態の時ってありますよね。

それなら「今」を出発点にしたらいい、「今」はゼロ地点です。つまり「ない」状態ですね。つまりその「ゼロ」、そのままでいいということです。

「いま」を積み重ねさい。それでじゅうぶん。

「ないがまま」で生きたらいいじゃないですか。

――そんな先生の言葉を聞いたような気がしてきました。(ここのところはすべて武藤の妄想なんですけどね)

そのほかにも、先生の優しくて真っ直ぐな言葉がたくさん詰まった一冊です。
禅の教えや老荘の考え方の入門編として読まれるのもお勧めですよ!
ぜひお手に取ってみてくださいね!

(むとう)

愛犬との生活は悲喜こもごも。本当の「人生の豊かさ」って!?『愛犬と「幸せ家族」になる方法』/安藤一夫著(PHP文庫)


犬の気持ちをちゃんと受け取り、人の思いをちゃんと伝えるために
思いを込めて編集を お手伝いさせていただいておりました『愛犬と「幸せ家族」になる方法』という一冊が、いよいよ本日発売になりましたのでご報告させてください!

著者の安藤一夫さんにとって、本書は処女作。

安藤さんのプロとしての的確なアドバイスはもちろんのこと、そのお人柄のチャーミングさ、そして愛情深さをできるだけ率直に読者の方に体感いただけるように出来たらいいな…と願いながらお手伝いさせていただきました。

安藤さんは、大阪は豊中市でドッグサロンを経営されてる「犬のプロフェッショナル」。そして、ご自身も三匹のわんちゃんの飼い主さんでもあられます。
だからこそ、犬の気持ち、飼い主の気持ち、両方がとてもよくわかっておられるし、「意外と勘違いしてること多いねんで」とおっしゃいます。

「犬の気持ちをちゃんと受け取れるように、飼い主さんの言いたいことも、ちゃんと犬たちに伝えられるようにできたらええなあ」
最初の打ち合わせの際、安藤さんはそんな思いを話してくださいました。

「そばで見てると、ようわかんねん。本人たちが幸せならもう何もいうことないんやで、もうそれでええやん。せやけど、ちょっとしたことでもっともっとお互い楽になって幸せになれる、思て…」

大好きだからこそやってしまう「読み違い」「勘違い」。
ある、あるなあ、ありますよね!?
これって実は、犬と人の間だけで起こることでもないですよ。人と人の間でも「読み違い」は起こります。こんな読み違いは、長年連れ添った夫と妻の間にも、あったりしますよね。

安藤さんは、時に人間同士の例を巧みに上げつつ、犬の気持ちが本当はどうなのか、飼い主の思いはどう伝わっているのか、を笑いたっぷりに解き明かしてくださいます。

20151104-1

面白い。でも涙が止まらない!
そして、本書の真骨頂は、思いもよらぬ部分で現れました。
安藤さんは、関東生まれの私などからしたら「笑いのエリート」。大阪の笑いとはここまで計算されたものなのか!?すごすぎる!…と思っていたので、本書の個性は、「犬のことをちゃんと学んでいけるのに、大笑いしながら読めてしまう」という点じゃないか、と思っていたのです。

ところがところが…

PART5で、「老犬介護」についてぜひ書いてください、とお願いしていたのですが、それまですらすらと書き進めてくださっていた、筆が止まってしまいました。

「ごめん、武藤さん。書かれへん。考えるだけで辛い」

安藤さんは、身体の大きな、いかにも男性らしい方なんですが、同時にとても情にあつくて涙もろい、優しい方なんです。
私たちがそんな風にお願いしたとしても、犬のケアのプロフェッショナルとして感情を切り離して言葉は悪いですが無難にさらっと書くこともできたはずです。でも、そんなこと、安藤さんにはできないのです。その気持ちが、すごくよく伝わってきました。
だけど私も編集長も、だからこそ書いてほしいとお願いしました。「そのつらい思いは、全飼い主さん共通の思い。それは絶対に読者の皆さんの心に響く」。そう感じたからなのです。

辛いとおっしゃる著者に、私たちも酷なことをお願いしていました。でも、安藤さんはまさに身を絞るようにしてPART5を書き上げてくださいました。そしてできあがったPART5は、簡潔ながらもぐっと心をつかまれる、本当に素晴らしい章になったと思います。

そして、ダメ押しはエピローグ、そしてあとがきです。

安藤さんは、「エピローグ お別れの時」で、突然逝ってしまった愛犬しじみちゃんのお話を書いてくださいました。その時の恐怖感、絶望感。もっと何かしてあげられたんじゃないか……、という後悔の念。
その大きな悲しみは、犬を同じように失ったことのある私、さらには犬を飼ったことがないという編集長の心をも激しく揺さぶりました。

一応、私たちは「読む」プロです。ですから、もう少ししっかりと、冷静になって読まなくちゃ、と思うんですけど、どうしても、何度読んでも涙が湧いてきてしまうのです。

「何度読んでも、涙が出ちゃうよ~」

N編集長がそうおっしゃっていたのが、本当に印象的。そして、それを聞きながら私までもらい泣き、さらに安藤さんにお伝えしながら二人で大泣き……なんなんでしょうか。これは!??

私は本書を担当させていただいて、犬たちだけでなく多くの方々と、心を込めて関わっておられる安藤さんの「豊かな人生」を感じました。

愛犬との生活は悲喜こもごも。一緒にいる喜び、いなくなってしまったことへの悲しみ。
豊かな人生とは、そんなたくさんの思いをたくさん経験していくことなんじゃないか、そう思いました。そしてともに味わう存在がいるとなお深いんだなあと。その存在というのは、犬でも人でも同じことですね。

ぜひ、皆さんにもお読みいただき、そんなことも考えてみてくださったらうれしいなあ、と切に思います。
ぜひぜひ、お手にとってみてくださいまし!

(むとう)