25万部突破シリーズ、第七弾登場!あの名医・聖庵先生の過去が明らかに!?『本所おけら長屋(7)』/畠山健二著


畠山先生渾身の書下ろしシリーズ、『本所おけら長屋(7)』第七弾いよいよ発売です!!
発売日は9/10。少々フライングですが、ご報告させていただきます。

今回もさすがは畠山先生、いつもながらの笑いも涙もモリモリ、そして新しい試みてんこ盛りです。

最も大きな新展開は、お江戸を飛び出す一篇「あまから」でしょうか。

これまではお江戸の中でのお話でしたが、第五話「あまから」は本所を飛び出して、江ノ島が舞台になっています。しかも、火盗改と鉄斎さんが出張って、大捕り物が繰り広げられちゃいますよ~!

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そして、今回読者の一人として、個人的にはまってしまいましたのは、第二話「ひだまり」です。

長年、おけら長屋を支えてきた名医・聖庵先生。くちは悪いけど人情溢れるお人……。しかしその実像は謎でしたが、今回それが明らかになります。
やはり、というかなんというか、もう、ものすごい苦労人なお方だったのですよ、聖庵先生。だからこそ……

いや~、もうこれ以上お話ししますと、ネタバレになってしまいますので、ぐっとこらえます。

でもですね、なんと申しますか、とても切ないです。大人になればなるほど、切なさが増すような気がします。編集として、びしっと読まなくてはいけない、と思いながらも、何度読んでも目頭を熱くしてしまっておりました。

……改めて、おけら長屋は読む人によって、ぐっとくるお話が違うんだろうなあ、と感じます。今回私にととっては「ひだまり」でしたが、ひょっとしたら、その時の精神状態によっても変わるかもしれません。ぜひ、みなさんのぐっとくるお話を探してみてくださいまし!

そしてそして。

今回は発刊を記念いたしまして、9/15、八重洲ブックセンターにてトーク&サイン会が開催されます!!
ご存じの方も増えてきていると思いますが、実は畠山先生はトークの名手です。
さらに、立川談慶師匠も高座をしてくださいますよ~!めちゃくちゃ楽しい一夜になること間違いなしです。贅沢!

ぜひ「リアルおけら長屋な世界」を体感しに来てくださいね~!

畠山健二 先生トークショー&サイン会 with 立川談慶
(八重洲「本書く派」寄席 番外編)

http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/10142/

(むとう)

若き日の半藤先生、日本の黎明期の心を詠う「万葉集」を読み解く!『万葉集と日本の夜明け』/半藤一利著


半藤先生のご本をお手伝いさせていただいて、今回でなんと四冊目。

これまでは、太平洋戦争や昭和史といった半藤先生ならではのテーマが多かったのですが、今回はちょっとこれまでのご本とは雰囲気が違います。

なんと、今回は「万葉集」です!
ど真ん中、正統文学のかほり!

昭和史の大家としてあまりにも高名で、歴史家として硬派な印象の強い半藤先生ですが、実は学生時代は東京大学文学部国文学科所属。卒業論文は、なんと『堤中納言日記』という生粋の文学青年だったことはあまり知られていないかもしれません。

知られていない、…というよりも、先生もこれまであまり声を大にして言ってこなかった事実、というべきでしょうか。大学を卒業して、編集者として活躍しながらも、短歌を愛し、歌人として活動もされていた、ということも多くの読者はご存じないのではないかと思います。

本書は、そんな若き歌人としての半藤先生が、愛する『万葉集』を前に、ワクワクしながらづつった文章を中心にまとめたものです。万葉集がもつ日本の黎明期・青春期そのものの力強さと、先生ご自身の若々しい躍動感があいまって、素晴らしい一冊となりました。

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ご存じのように、万葉集は日本最古の歌集です。特に日本史上、この歌集が際立っているのは、上流階級の歌だけでなく、庶民の歌も広く収録しているところででしょう。

先生も、やはりそのような歌の数々――東歌、防人の歌に特に愛情を向けられ、読み解いてくださいます。とはいえ、半藤先生ブシは、健在。
東歌や防人歌を通して、古代の日本、そして当時の東アジア情勢を見事に読み解いてくださいます。そこは、やはり「歴史探偵」の面目躍如です。

「『万葉集』は「日本人の心のふるさと」という。しかし『万葉集』は遠い風景をうっとり眺めるようにみるのはむしろ間違い。時代を越えてわたくしたちといまも一緒に生きられる、いや、現に生きているトナリの人々、それが万葉びとなのである。」(本文より引用)

歴史上の人だから、昔の人だからといって崇め奉るのではなく、同じように生を生きた人間として、万葉びとの言葉を味わう。その言葉から、心情を慮り、その時をどう生きようとしていたかを推理する。古代史を庶民の言葉を突破口に、読み解いていく手法は、歴史探偵ならでは。万葉集をお好きな方だけではなく、古代史好きな皆さんにも、ぜひともお勧めしたい内容になっています。

そして、後半部ではご自身が中国を旅した際の旅行記を採録しています。万葉の時代、中国は唐の時代です(正確に言いますと、則天武后の代なので、武周)。先生は、万葉の歌人として有名な山上憶良に仮託しつつ、唐の時代に思いをはせます。

唐の時代、万葉の時代。
ダイナミックで、国際色豊かな時代の風が、ふうっと香り立ちます。

この時代は、何とも言えず、良いですな~。
この頃の仏像も建造物も、精緻でありながら何とも言えず大らかですね。
時代の空気というのは、その時代すべてのものに自ずと現れると思いますが、万葉集や唐の詩人たちの詩にも共通する豊かな息遣いがありますね。
先生の旅行記を拝見すると、そんな息遣いを感じることができます。

半藤先生のファンの皆さんはもちろんですが、古代史好き、万葉集・短歌好きのみなさんにも、ぜひ、お手に取っていただけたらと思います!

(むとう)