file.61  鶴屋吉信の「あんみつ」


 

いちにちいちあんこ

東京国立博物館の別館「平成館」の一階には、鶴屋吉信さんが出店しています。

こないだ、石田石造(女)センパイと一緒に見に来たときにも、やはりこちらであんこものを購入して一休みしましたが、今回もやはり素通りできませんでした。

こちらは何と言っても、いわゆる売店でその場でも食べられるようにしてます、お茶は自販機でお好きにどうぞ…、みたいなスタイル。

なので、あまりゆっくりいかにも京都な老舗の和菓子を味わう…という感じでもないのですが、いかにもイートインらしいメニュー「あんみつ」があります。

しかし、パックに入っている状態で630円もするので、私はこれまで二の足を踏んでました。それならみはしさんで、あったかいお茶をいただきながらあんみつ食べてもいいもんね、なんて思っちゃって。

しかし、ここはさすがの石造センパイ。

「すみません、あんみつ二つ!」

と颯爽と注文してくださいました。もちろんセンパイのおごりです。わああ、すみません!ありがとうございます!!…と恐縮しながらも、喜びを隠しきれないワタクシ…。
あんみつ

そしてこちらがそのあんみつ!!
テイクアウト用のあんみつを、ちょっとだけ気づかいプラスして提供してます~って感じです。

あんみつ

あけてみますと、二段構成。あんことえんどう豆、サクランボは二段目のお皿に。
これを全部寒天の上にのっけて、と…

あんみつ

黒みつかけたら、あら、本格的ですよ!!
シンプルにど直球なあんみつです。
あんみつおお!あんこ、美味しい!
さすがさすがの鶴屋吉信さん!寒天も、臭みがなくていいわあ。
えんどう豆もいいなあ。ふっくらしていて美味しい!品があるなあ…

「むとうさんは、あんみつにミカンって許せる派?」

えんどう豆の端正なおいしさを味わう私に、おもむろに問いかける石造センパイ。

「私は、ミカンとかそういう余計なものはいらない派だから、このすっきりした構成はすごくいいと思ったのよ」

確かに。このストレートな構成は、何もごまかしがきかないですし、潔いなあ。

そうですね、そうそう!!
と私もきりっと賛同の意を表しましたよ。

たぶん、トーハクにいったらまた寄ってしまう、と思いますw。

石造センパイ、ごちそうさまでした~!!

鶴屋吉信
http://www.turuya.co.jp/index.html

人間国宝展+クリーブランド美術館展@トーハクに行ってきました


トーハクで開催されている「人間国宝」展と「クリーブランド美術館」展をダブルで一気見しよう、と石田石造(女)センパイといってきました。

石造センパイとは、一緒に伝統工芸士の先生方の本を作って以来、イシブの活動はもちろんのこと、「美しいもの」を一緒にみてきた仲です。

20140221-1

特に今回の人間国宝展は絶対石造センパイと見たいなあ、と思い、お誘いしたのでした。

クリーブランド美術館展は、正直言って、竜頭蛇尾…というと怒られてしまうかもしれませんが、一番最初の部屋にあったものは、本当に逸品ぞろいで素晴らしいもので、ため息をついてしまうようなものも多数ありました。

しかし、それ以降は、……うううむ。……コンセプトが揺れちゃってるっていうか。ううむ。

もちろん私の個人的好み、関心の方向性とは合わない、とかそういうことなのかとも思いますけども。

「人間国宝」展も、同様。 正直言って???というかんじで。

特に、最初のほうに「第一章 古典への畏敬と挑戦」と銘打った展示なんですけどね、比較展示とでも言いましょうか、例えば本物の奈良三彩の壺(重文)と、現代風にアレンジされている加藤卓男さんの三彩花器を並べてるところからスタートなんです。その一歩目から「ええええ!?」とつぶやいてしまいました。ほかにも国宝の火焔型土器と、、現代の作品の壺を並びでおいてたり。
???? ?
火焔型土器は、そりゃもう大迫力の名品です。それと、並べるってなんか…どうなんでしょうか。

そんな風に思ったのは私たちだけではなかったようで、周りにいた人たちも何人か「並べておく意味あるの?」「人間国宝の作品だけでもいいんじゃないの?」という声をききました。

確かに、あえて博物館で開催されているわけで、だとしたら…ということで、所蔵品の中からこのような趣向を考えられたんだろうと思います。しかし、これでは本当の意図とは違った印象を、観覧者に与えてしまうのではないでしょうか。

なんだか複雑な思いになる展覧会でした。

むずかしいですね。ほんと。

東京国立博物館(~2/23まで開催)
www.tnm.jp/

file.60 うさぎやの「どらやき」


いちにちいちあんこ

仕事先で場所を借りて作業をしていると、Yさんがにこにこしながら…「むとうさん、どらやき食べますか?」とおっしゃる。

Yさんは、いかにも京都出身といった洗練されたオトナな男性なのですが、甘いものも大好きで、しかもカフェなんかにも詳しくて、さらに美味しいパン屋さんにも詳しい…という稀有の人。
そんなYさんが下さる甘いものは、間違いのないものばかりです。
#それか、チャレンジャーな組み合わせのものかどちらかw

はいはい、もちろん喜んでいただきまーす!といそいそ寄っていくと、

「うさぎやですよ♪」とさらににっこり。

うっほ~!まじっすか~!
心象風景としましては、万歳三唱、花畑をスキップで走り回る…、みたいなかんじ。
ワタシ的には最高レベルの喜びの状態…。

「著者がお土産でもってきてくださったので、おすそ分け」

「おおお!その先生、間違いなくいい人ですね!!」

そう叫ぶ私に、Yさん苦笑。……いや、だってだって。

上野うさぎやさんのどらやきは、御徒町と湯島の間あたりの、あそこまで行って手に入れないと買えませんから。近所でもない限りは、お土産に持っていこうと、とわざわざ足を運んで、買ってきてくださってるわけです!

以前、すずめやさんのどらやきを持って頼みごとに来た知人に感動して、ついつい骨を折ってしまったお話をしましたが、こちらの上野のうさぎやさんもまさにそう。

職人さんがていねいに材料を吟味し、美しく仕上げたどらやきは、繊細で日持ちもしませんから、その日買ってその日届ける、そういう昔ながらの心づくしのお土産なわけですよ~。

わーいわーい!
どらやき

こちらが、お馴染み、上野うさぎやさんのどらやきです!
いよっ!待ってました~~!
どらやき

見てください、この美しい生地の色!
きめ細やかな肌!

どらやき

柔らかくてしっとりふんわりな生地だということが、見てとれますよね! ううう、よだれ垂れそう。

どらやき

そして、あんこ!!

見てください、この美しいアズキの色を!アズキ本来の赤い色がよく残ってるでしょう??

このあんこが、ま~~~美味しいわけですよ!アズキの深いコクもありますが、とても上品でサラッとスルッとしてます。アズキの皮はあくまでも柔らかく、アズキの形を保つという役割に徹し、口の中ではするりとほどけます。舌に皮が当たるような感じはまるでありません。

今回、久しぶりに食べて改めて思いましたが、やはりこちらのどらやきはすごい!
生地の素晴らしさ、あんこの素晴らしさ、そしてそのバランスの妙。まさにパーフェクトです!

何度食べても、この感動ですよ。ほんとすごいです!

Yさん、本当にありがとうございました!

うさぎや
http://www.ueno-usagiya.jp/index.htm

「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)、連載第6回掲載!!


昨週末、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第6回目掲載の『文蔵』2014年3月号が刊行されました。
20140216

奇しくも、14日の大雪の翌日。本書の舞台にもなっている甲府や勝沼などのある、山梨県は本当に大変なことになっています。雪のために陸の孤島と化している、と…。

私はテレビをあまり観ていないのでわかりませんが、キー局などでのニュースがとても少ない、と友人から聞きました。心配ですが、とにかく今日、また雪が降らなくて本当に良かったです。除雪作業はマンパワーでどうにかするほかないので、限界があります。とにかく、気温が上がって早く溶けてくれることを、遠くから祈るばかりです。

さて、今回のお話は、いよいよ、いよいよ武田家は…です。

武田家の最後の良心というべき、仁科盛信(にしなもりのぶ)は、前号見事に武田武士らしい死にざまを見せました。
そして主人公の松姫さんは、幼い姪っ子の姫たちを連れ、向嶽寺というお寺で、甲斐国脱出の機会をうかがっている…という状況です。

そして、武田家当主の勝頼さんは…。

…最後までひよりましたですよ。重臣の勧めで新府城という本城を脱出し、重臣の城まで逃げて再起を図る、と決めて、新府城に火を放ちます。しかし、この判断はいったいどうだったんでしょう。戦術に詳しくない私のようなものからしても、この一手はやばいんじゃないの?!?と思いましたです。

だって、織田信忠軍はすごい大軍ですよ。家臣たちがどんどん自分から離れていった結果、勝てそうもなくなってるところに、勧められたからと言って家臣の城に逃げ込む、だなんて。なんか無理ですよね??

さて、さてさて。

もう結論は出てしまっておりますが。あああ、武田家、悲し…。

とはいえ、最後の最後には、勝頼もはらを決めます。はらをきめてからの勝頼は、いかにも戦国の武士らしいふるまい。そばで戦った家臣たちもまた、いかにもな見事なふるまいであったことを、先生の筆は教えてくださいます。

いやあ。

なんともいえぬ、余韻の残る今回のお話です。

ぜひ、お手に取ってみてください!
人生の「選択」とは、なんとまあ難しいものか、と改めて考えさせられます!

(むとう)

 

 

講演「運慶のまなざし」山本勉先生を聴く②



平安末期最先端の技術、「玉眼(ぎょくがん)」

先生のお話で、まさに目からうろこなお話はそれこそ山のようにあったのですが、その中で「玉眼」についてのお話がまたすごかったです。

「玉眼」とは何か、と申しますと、仏像の目のところに用いられる技法のひとつですね。

人間の眼球と同じように見えるよう、水晶などを埋め込んで作った目。キラキラ輝いたりして、ほんとリアルなんです。

仏像ファンは、もし、その仏像に玉眼が入っていたらそれは多分平安最末期以降の仏像だな、と思うと思います。つまり、12世紀に出現した、新表現というか最先端技法なんです。
銘がある仏像で、玉眼が用いられている最古のものは、長岳寺の阿弥陀さんだそうで1151年の名だそうなので、だいたいこれくらいから以降に使われるようになっていく技法なわけですね。
20140216-1(『興福寺仏頭展図録』より。表紙転載)

前後してしまいますが、あまりにも有名な旧山田寺仏頭。こちらは、鋳造されたお像なので、「彫」眼というのとは違うかな、でも玉眼でない表現の参考として見ていただければと思います。 玉眼という技法が現れる前までの仏像は、木彫にしてもこのような表現だったわけですね。
#またまた「興福寺仏頭展」図録の表紙の転載、ということでお許しください。

運慶は表現として「彫眼」と「玉眼」を使い分けていた!
先生のお話は、この玉眼、という視点から運慶の表現に迫る、というものでした。

山本先生のお話ですと、どうも運慶は、玉眼と彫眼(彫っただけの目)という技法を、ものによって使い分けてるのではないか、とおっしゃるのです。

おおお!

な、なるほど!!!

いや、実際、使われてるものとそうでないものがあるのはなぜ?と思ってはいたんです。でも、少ない制作費で本を作ってきた人間のサガでしょうか「ひょっとして予算がなかったのかな…」なんて、せこいこと考えてたんです。

……そんなことはないっすよねw。

施主さん、大物ばかりですもんね^^;;。

先生のお話では、運慶は玉眼という技法を十分に使いこなし、表現の選択として用いていたのではないかというのです。

玉眼というのは、非常に生々しく、写実的な表現を可能にします。

ですから、人ではなくなった超越した存在である「如来」、またそれに届こうかとする存在「菩薩」には、あえて玉眼は使わず、怒りの表現でもって人々を導く「明王」、神様が仏法に帰依した姿である「天部」 、またお坊さんの姿である「羅漢」「祖師」像などには玉眼を用いる…と。

なるほど!
そういうことなんですかあ。納得!

しかし、見ていくとどうもこの単純なルールだけでもない、ようなんです、と言い出す山本先生。

え!
じゃあどんなルールが!?

(続く)

講演「運慶のまなざし」山本勉先生を聴く①


 

小学館さん90周年記念事業『日本の美術』シリーズ記念講演
先週末、小学館さん主催の講演会、「運慶のまなざし」by山本勉先生を聴きに行ってきました。20140130-1

もう説明するまでもないかもしれませんが、山本勉先生と言えば、日本仏教彫刻史の第一人者。おそらく今最も仏像についての著作をものされてますし、昨年は、平凡社さんから『仏像~日本仏像史講義~』も出されてますね。一般向け、仏像研究ともに影響力満点な大きなタイトルを立て続けに上梓されています。

今回の講演会は、小学館創業90周年記念企画として刊行されている『日本美術全集』の『第七巻 運慶・快慶と中世寺院』刊行記念として開催されたものです。
20140130-5

太っ腹なことに、記念公園ということで参加費は無料!場所は丸の内丸ビルの豪華なホールですよ。さらにメモパッドとボールペンもお土産にいただいちゃって、なんだかびっくり。

すごいですねえ。小学館さん!!

さて、この美術全集、これまでに7回配本がありまして、それらの一部がホールに展示されてました。チラ見しましたけど、まあ豪華な作り!!

小学館さんと言えば『原色日本の美術』シリーズという、大変有名な美術全集を出されてますが、なんとそれから46年が経つんだそうですよ。

今も、『原色日本の美術』は図書館には必ずありますし、私もたまに参照させていただく素晴らしい図鑑です。そう言う意味では、こういった図鑑的美術全集は、小学館さんのお家芸ともいえるものでしょう。それを90周年記念事業にされた、というのは、なるほど、と思います。
20140130-4このシリーズの特徴と言ったら、このパンフレットの絵の並びを見ていただければ一目瞭然でしょう。
黒田清輝さんの〔湖畔〕の横に、つげ義春さん〔ねじ式〕の冒頭原画ですよ!!そしてその横には村上隆さんの〔五百羅漢図〕が来て、写楽…と続きます。
こういう視界で日本美術をとらえていく、というわけです。革新的で面白いですよね!

運慶作の仏像って何体あるの??

さて、ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、そんな革新的意気込みで制作されているシリーズの7巻目。それをご専門の「運慶」を中心に編集された山本先生のお話です。面白いに違ない、と思ってましたが、案の定めちゃくちゃ面白かったですよ!

「運慶作、という仏像は、意外に少ない…」

仏像ファンの間ではよくそんな風に言われますが、先生のお話によりますと、もはや「少ない」とは言えなくなってきました。先生のお話では近年の研究成果により、次のような「認定レベル」が考えられているとのこと。

1.名前の記されている作品

2.名前は記されていないが同時代の史料に運慶作品として記述され、明らかに該当する作品

3.後世の史料に運慶作であると記されていて作風も矛盾しない作品(→伝運慶、と表記)

4.作風・構造技法や、伝来状況に予感する現代の美術史研究により運慶作と考えられるもの

1.2は、疑いようがないもの、と言っていいでしょう。確定された作品として、7件(作品数としては18)とされてますが、今回、先生はここに浄瑠璃寺旧蔵十二神将像を加えたい、とおっしゃられてました。つまり8件(像数34)。
#この十二神将像は、浄瑠璃寺にはなく、静嘉堂文庫とトーハクで分蔵されてるそうです。

こちらの十二神将は、明治時代の調査で、胎内に運慶の銘文があった、という新聞記事が発見されたそうで、同時代の史料にも運慶は作ったとあるため、ほぼ間違いないだろうとのことでした。

その確定されているものに3.4のものを加えますと、現在先生としては14件、像数47と考えられているとのことでした。

けっこう多いですよね??
けっこうっていうかかなり多いですよね!?

12.3世紀に生きた人の作品がここまで確定されてるって、そもそもすごいですよ。世界的に見てもまれなんじゃないでしょうか。何度も言いますが12.3世紀ですよ?!

世界美術史からの運慶 という視点
さて、この認定レベルで4にあたる例として先生が挙げられていたのが、有名な「東大寺俊乗上人(重源上人)像」(国宝)でした。こちらです。
20140130-2こういうお像の絵を乗せるのは大変難しいのですが、こちらは先日開催されて展覧会の図録表1、ということで許していただきましょう。

このお像は、日本というか世界を見ても屈指の傑作と言っていいであろう肖像彫刻です。長らく運慶の兄弟弟子である快慶作と言われてきましたが、先生はこれを運慶作である、と言い切っておられました。

いや、でもなんかわかります。

以前から、快慶作と伺うたびに、なんか違和感があったんですよね。快慶さんも素晴らしい仏師ですけど、方向性が違いますもん。私は素人ですから的確に表現できませんが、シロウトゆえに、直観力はかなり強いと思います(野生の勘みたいなやつです)。

先生がこちらを運慶作である、と考えた理由は、研究者としてさまざま述べられてましたが、「直観的な」こととして、ピカソの彫刻「雌山羊」と比較されていたのが印象的でした。
この雌山羊の彫刻と共通するような、そぎ落とされた線、フォルム、そういったものをピカソ以外には作れないように、この重源上人像も運慶以外には作れないんじゃないか、とそのようなことをおっしゃられていました。

私は、そういう直観はとても大切な感覚じゃないかと、日ごろから思っているので、大きくうなずいてしまいました。
さすが山本先生だなあ、とため息をつくワタクシなのでした。

(続く)

 

file.59 銀座文明堂の「森幸四郎のどらやき」


いちにちいちあんこ

文明堂さんと言えば、カステラ。ですよね。

「カステラ一番、電話は二番、…」のCMソングは子供のころの定番。カステラと言えば文明堂、とインプットされています。

どちらかというと、庶民的。手の届くご馳走って印象ですが、数年前、京都の伝統工芸士の先生と銀座で食事をご一緒した時に、奥さまが「ちょっと文明堂に寄りたいの」とおっしゃる。

美食家の奥さまが文明堂?と、失礼ながら驚きましたが、そんな私を見て奥さまは「こちらの極上カステラは、それは美味しいの。東京でしか買えないのよ」、と微笑まれました。

その時奥さまが買ったカステラは、一本6000円くらいしたと記憶してます。

とと、今、文明堂さんのサイトを見ると、一番高いカステラは3990円なので、私の勘違いでしょうか?あれ??

あ、これひょっとして…と思って確認しましたら、私が見ていたのは「文明堂 東京」のHPでした。奥さまが立ち寄ったのは「銀座文明堂」です。間違いました^^;。
#文明堂さんは、暖簾分けで複数あるんです。

…と探してみると、あったあった!

6300円のカステラ!これです!!

「天下文明極上カステラ」。

そうそう、これですよ!
「カステラ一本6000円!?」と庶民な私は度肝を抜かれました。

……さてさて。

そんな思い出から、強引ですが今日のいちあんこでございます。

実は、この銀座文明堂には「食の人間国宝」と呼ばれる、「フードマイスター」の称号を与えられた職人さん「森幸四郎」さんがおられます。
#この、フードマイスターというのは、農林水産省が優秀な製品を作る伝統を守り続けている最高の製造技術者に与える称号なんだそうですね。

この「天下文明極上カステラ」も、この森幸四郎さんの長年の集大成ともいうべきレシピで作られてるんだそうです。やっぱり一度食べてみたいなあ。

さて、ちょっと敷居が高い極上カステラですが、私にも手の届く「森幸四郎」さん作品があります。それが本日の…
どらやき どらやき!!
です。一個210円。手が届きますね。

実は、東京駅の大丸で「森幸四郎」というお店で出されており、あんこ好きの間では前から評判で。ぜひとも一度食べてみたいと思っていたのです。

どらやき

封を開けてみますと、おおお、なんか香ばしい香り!!
普通のどらやきとはちょっと違います。生地もしっとりしているのが見ただけでわかります。

どらやき

横から見るとお分かりいただけますでしょうか。普通のどらやきよりも少し油分もあるのかな。しっとりしてますし、また、周囲に生地のこげの部分がヒラヒラついてます。これも普通とは違う。

どらやき

割ってみますと、この生地の部分、見てください!気泡のような部分がかなり多くあります。この生地は、和菓子のどらやき、というよりはやはり少し洋菓子っぽいテクスチャーなのです。しっかりと焼しめたパウンドケーキのような…。

食べてみますと、…やっぱり香ばしい!
カステラの茶色い部分って、キャラメリゼされた風味で少し苦みがあっておいしいですよね。全く同じではありませんが、遠くに共通点があります。

そして、醤油の風味も効いてます。遠くにですけど、確かにあります。

それから、卵が強い!

普通のどらやきより卵の量が多いんじゃないでしょうか。

これぞ「カステラ職人のどらやき」です。森さんの、まさにご自分の出自を語る逸品ですよ。

あんこは、甘さ控えめでほっこりしています。とても美味しいあんこですが、ここではわき役に徹していますね。主役はあくまでもこの生地です。

個人的には、上野うさぎやのどらやきのほうが王道だと思います。あれこそ和菓子のどらやきの最高峰でしょう。こちらのどらやきは、カステラ職人の心がこもった一品で、ある意味別物と思います。

なんか感動しちゃいました。ここに道あり、ですよ。

銀座文明堂
http://www.bunmeido.com/

 

 

 

 

 

 

大塚先生の包容力のハンパなさに感動/『弱き者の生き方』読感


最近時間を作っては五木寛之さんの近刊を読んでいます。

近刊、と言ってもここ20年に刊行されたもの、なので、近刊っていっていいのかわからないくらいの分量があります。なので、なかなか先が見えない状態^^;。…修行みたいです。

さて、そんな中、先日のシンポジウムでその存在のあまりのラブリーさに打ちのめされた大塚初重先生との対談本『弱き者の生き方』があったので、手に取りました。

20140201

もともと、五木先生はいろんな分野の第一人者と対談をされて本として出版される、というのはよくやられてますし、とても面白いのですが、この一冊は、その中でも飛びぬけてすごかった!!

まず、五木先生執筆のまえがきで、「あうっ」とあつくこみ上げるものがあり、ヤバい、なんかこの対談本違うぞ、と思いました。

五木先生は、大塚先生を「絶望におちいるのでもなく、希望にすがるのでもなく『微笑みながら往く』人」と評されます。

ムムム。なんて素晴らしい表現なんでしょうか。さすがだなあすごいなあ。

いやもう、本当にそういう経歴なのです。

大正生まれで、太平洋戦争にも17歳で従軍され、乗っていた輸送艦が潜水艦に撃沈されて九死に一生を得た経験を持つ…

と、ここまでは、すさまじいですけどない話ではないと思います。

でも、その時のことをつつみかくさず五木先生に語るのですが…

「足にしがみついてくる戦友を、私は両脚で燃えさかる船底に蹴り落としたんです。船底からは海軍の下士官のピーピーという笛の音が聞こえてくる。助けてくれという笛の音が…」

「私も甲板に上がってから大腿骨が折れて動けなくなった戦友を抱きかかえて助けたりはしそてるんです。だけどその時は船底が燃えていたんです。そこに落ちればあっという間に死ぬわけだから。その恐怖たるや。無我夢中ですよ。…(中略)…冷静になってから、おれの足にしがみついてきたあの兵隊は軍属たちは助かったか、たぶん亡くなっているな、と思うと、その感情は名状しがたいです。人殺しですから」

自分を「人殺し」だという大塚先生。

その大塚先生を前に、五木先生もいつに増して、何かこう、開いていくような感じがするのが、文章を見ても伝わってきます。

インタビューのお上手な方ですから、ほかのご本では場合によってはそういう意味でテクニカル的にすごいなあ、と思うところも感じないわけではありませんが、このお話を聞いた以降の五木先生は、いつになく言いにくい部分まで饒舌にご自身のことを話され…。

本書を読むにつれ、大塚先生の赤裸々な告白以降、五木先生の心が少し温まっていくのが感じられます。そして五木先生も、ほかの本では言ってこなかった引き揚げの時の体験を語ったりしますが、その語りは、間違いなく正しく受け止めてくれるであろう存在(大塚先生)がそこにあるからこそ、そこまで語れるんだ……と思ったのです。これだけ大きな人を、さらりと受け止めてしまう大塚先生の包容力ハンパないっていいますか…。

なんと言いましょう。

大塚先生が、どうしたあんなにラブリーなのか、本当によくわかりました。あのあたたかさが、何から来ているのか。

先だって、私は「まるで生き仏みたいでした」とかきましたが、本当にそういうことなんじゃないかと思うんです。

地獄を見てきたからこそ、あがいてきたからこそ、『微笑みながら夜をゆく』からこそ、あのラブリーな佇まいがある。

五木先生流に言えば「悪を抱えて生きる」からこそ、そこに光がある。人にも優しくなる。…そしてその光ややさしさは、ほかの誰かの「救いの火」になったり、道しるべになったりする。それは仏教的に言えば、「菩薩」のように。まさに生き仏ですよ!!

いやあ、本当に感動してしまいましたよ~~。

ぜひ、まだ読んでおられない方、手に取ってみてください!おすすめです!!