「木」ともう一度出会いたい④~木を料理する、ということ~

「木を料理する」ということ
ラボラトリーのシャチョー、えーいちさんは、家具を作ることを説明するときに、よく「木を料理する」という表現をします。
料理上手な彼らしい表現だなあ、と感心してましたが、今回実際に木を切って木材にしていく過程を見せてもらって、ああ、なるほど…と妙に腑に落ちてしまいました。

丸太を板にして、その板をWOODBANKで乾燥させるそうなんですが…
えーいちさんと工場長が、板の取り方(使い道によってどうカットするか変わるみたい)など打ち合わせをした後、大きな板鋸(いたのこ)みたいな機械でカットしていきます。

超ハイスペックな糸鋸みたいな機械。すごい!

超ハイスペックな糸鋸みたいな機械。すごい!

工場長は、淡々と、さらりと木材を美しくスライスしていきます。
木の硬さや節の入り方はそれぞれ違います。難しいことは全くわかりませんが、そういった特性をうまく均しながら木材にしていく、ということはおそらくとても難しいんだろうなあ、と思いました。
まさに、職人のお仕事ですよね。

この長いものんが鋸部分。お手入れがとても大切なんだそうです。

この長いものが鋸部分。お手入れがとても大切なんだそうです。

カットされた板には木の削り粉が付いています。
木の粉ふわっと木のいい香りが立ち上ります。

「…美味しそうだな」

その時、ふとそんな風に思ってしまいました。
別におなかがすいてたわけじゃないですよ。でも、健康で新鮮な植物の香りというか…。そんな香りを嗅いで、食欲を感じた自分を感じたら、ああ、木だって植物なんだもんなあ、となんだかすとんと腑に落ちたような気がしてしまったんです。
木の粉木の粉はしっとりとしています。木は、刈られて丸太になってなお、こんなにも水分を持っているんですね。生き物なんですよね。ますます美味しそう。

そう思ったら、えーいちさんの「木を料理する」と言っていた言葉が、より理解できたような気がしてきました。
こんなに美味しそうな木材を使って、家具を使う人たちのために心をこめて家具を作る。ああ、それは料理だわ。そんな家具はきっと綺麗で健康な家具になりますよね。そうだよなあ。

そして、再びWOODBANKへ
こうしてカットされた木材は、WOODBANKで保管し、乾燥されます。
何ですか、この乾燥って、イカで言えば干しイカ。シイタケで言えば干しシイタケってことじゃないですか!?
うまみ成分倍増ですよ、つまり!

加工する前に十分に乾燥することで、割れたりそれたりすることが防げる、と聞きましたが、それだけじゃなくてなんかそういうプラスアルファもあるんじゃないかな……!?、とか考え出したら妄想は止まりません。
いや、でもこの発想は悪くないかも。
きっちり乾燥して、うまみ成分倍増した木材を使って、家具を作る。その家具がまた何百年もいろんな人に使われたりする…。
それってすごい豊かなものじゃないでしょうか!

(続く)

「木」ともう一度出会いたい③~南会津のWOODBANK~

いろんな木が勢ぞろい!
「きこりの店」には、今、覚えているだけでも、さまざまな種類の木が集められていました。 ブナ、カエデ、栗、スギ、キハダ、くるみ、ナラ…。

あとでお店のHPをみてみると「30種類以上の」と書かれてました。そんなにたくさんの木材があるんですね~。
店内には、木材状態のもの、屋外の展示場には丸太の状態の木がたくさん置かれていました。

並べて見てみますと、木によって年輪の目の詰まり方、色味、においがそれぞれ特徴があることがわかります。
たとえば、キハダという木は、その名の通り黄色です。わあ、ほんとに黄色いんだなあ~、と素朴な驚き。「キハダ」と聞くと、どうもキハダマグロを連想してしまいます。少しおなかがすいていたのかもしれません。

それから、眺めてますと、…なんかこう、好みってありますね!
なんか、あの人のことが気になってしまうのよ、理屈じゃないのよ、みたいな。

私の好みは、手前のブナ。樹皮がほわ~んとしててなんかかわいい。

私の好みは、手前のブナ。樹皮がほわ~んとしててなんかかわいい。

特に丸太の状態だと、樹皮もあるし、素人にもわかりやすいです。
私が好きだなあと思ったのは、ブナの木。樹皮がグレー地の上にちょっとグリーンがかった色や白が乗っていて、なんかほわ~んとしててかわいい。
私が「かわいいわ~いいわ~」を連発していると、
「いくさんって思わぬものを「かわいい」って表現するよね」とハタさん苦笑気味。
「かわいいじゃん、なんかいとおしいっていうか…思わず抱きつきたくなるって、そういう感じだよ!」
と力説する私。苦笑しつつもハタさんは、
「実際に、生きてるブナは、また神秘的なんだって。ブナの森に行くと幻想的な美しさにびっくりするってよく聞くよ」、と教えてくれました。

むむむ。それは見てみたい。確かにこんなにほんわ~とした樹皮の大木がたくさん生えてたら、そりゃもうきれいだろうなあ。

WOOD BANK!
さて、そんな展示場から、今度は木材の保管場所に移動。丸太を製材すると、1~2年ほど乾燥させる必要があるらしいんですが、きこりの店さんでは、「WOOD BANK」というシステムを運営されてるそうなんですね。
ラボラトリーさんでも、こちらのシステムを使って、木材を保管・乾燥させてるとのこと。

wood bankの一部。すごい広いです。

wood bankの一部。すごい広いです。

製材された木はこちらで静かに保管され、時を待っているんですね。南会津の澄んだ空気と、冬季の乾いた空気・低い気温が保管に適しているんでしょうか。

ラボラトリーさんの区域の一部。それにしてもすごい量ですよ~~!

ラボラトリーさんの区域の一部。それにしてもすごい量ですよ~~!

(続く)

 

 

「木」ともう一度出会いたい~南会津へGO!~②

南会津町は山の里
さて、ラボラトリーのえーいちさん、ハタさんとの楽しいドライブはあっという間に過ぎ去り、午前中には南会津に到着しました。

さて南会津ですがどのあたりにあるかといいますと、福島県南部の山深い地域にあります。
「会津」というと、先だってレキベンでもご紹介しましたように、白虎隊ゆかりの会津若松市を想像する人が多いかもしれませんが、会津若松へは、車でも2時間ぐらいかかるとのこと。結構遠いですよね。
東北道で那須塩原インターで降りてそこから2時間くらい。南の方は栃木県日光市と接しているそうです。

人と馬が共に暮らした住宅、「曲家」
予定よりちょっと早く着いたので、近くにある「南会津町前沢伝統的建造物群保存地区」にいってみました。

こちらは、平成23年に、国指定の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されたばかり。言ってみたら「国指定重要文化財」に指定されたってかんじですね。

前沢集落。

前沢集落。

このあたりの集落では、昔は各家庭で農耕馬が買われていたそうなんですが、その時代には、人と馬がひとつの家で生活していたそうなんですね。写真の家のように「L字型」の間取りがその代表的なデザインで、「曲家」と呼ぶそうです。前沢集落にはそんな曲家が今もたくさん残っているんだそうです。

重厚!かっこいい~!

重厚!かっこいい~!

こういう木の家はすごくかっこいい!と思うのですが、えーいちさんのお話では、こういう木造の家って、もう法律的に建てることは難しいんですって。防火とかそういう点で、許可されないんですって!
私は自分で家を作ったりしたことがなかったので、そのあたりのこと全然知らなかったんですけど、なんか、わかるようなわからないような理屈ですよね…。
美しい木造の家は、新しく建てられないのだなあ、としみじみ考えながら、割とシリアスにこの風景を眺めました。日本の原風景はこれからどうなっていくんでしょうね。

おいおい^^;、そっち??

振り返ると二人が熱心に見ていたのはガチャガチャの中身だった…^^;

専門家御用達のお店「きこりの店」
さて、そんな前沢集落から車で15分ほどのところに、今日お世話に「きこりの店」はあります。
ラボラトリーさんでは、こちらで無垢材を購入したり、製材してもらったり、倉庫に保管をしてもらったりしてるんだそうです。
aidsu-4なるほど~!こういう専門家御用達のお店があるわけなんですね!

めちゃくちゃ大きい板材がこれでもかと!

めちゃくちゃ大きい板材がこれでもかと!

店内には見たこともないような大きな板や丸太、またこちらで造ってらっしゃるという家具の見本などが所狭しと並んでいます。

私としては、こんなに立派な木材をこんなに見たのは初めての体験です。なんて立派なんでしょう!木ってやっぱすごい!

私たちが、普通に生活していて出会うのは、もっと小さくなった状態(家具や木製品)だったり、もしく生きている木ですよね。
それに、生活しているあたりでは、こんな巨木はなかなかもう見られないです。神社のご神木として観ることができるくらいです。

こちらには、そんな立派な木がたくさん集められているのですが、それだけでなんだか特別な場所だ、と思いました。
神様が集まってきてる、みたいな感じです。

(続く)