イチローさんの会見を見て~本当に強い人は優しい~


突然ですが、イチロー選手が、引退を表明しましたね。

引退会見もよかった。私は、その存在感に改めて圧倒されました。

会見の中では、記者の質問を、時にばっさり切り捨てていましたが、それでも、何ともいえない優しさ、他者へのいたわりのようなものを感じました。

イチローさんというと、求道者といったイメージがあります。彼の振舞いには、道を志す人ならではの深い精神世界を感じずにはいられません。彼に「武士道」の面影を感じる人も多いでしょう。私も彼を見ているとどうしても、「武士道」を連想してしまいます。実は、イチローさんの記者会見を見ていると、どうしても連想してしまう人がいます。私が幼い時に憧れ、短い期間でしたが可愛がっていただいた、剣道家の楢崎正彦先生です。

楢崎先生がものすごく強く、偉い人なんだということは、先生のお立場や9段という段位からしても、わかっていました。また、子どもの目から見ても、そりゃもうすごかった。「強烈な強さは、美しさと同意なんだ」と、私は思いました。それはもう、本当にすべてが美しかったですからね。

しかし、「美しい」ことは、「こわい」にもつながります。今その時のことを分析してみると、圧倒的な「気」みたいなものを発散されていたのかもしれません。側に行くなんて、とてもとても。こわいんですよ、それは。

当時、ちょっと問題のある環境にいた私を、先生は不憫に思ってくれたんでしょう。特別に大人の先生方のお稽古の末席に加えてくださって、週に一度稽古をしてくださいました。稽古の時には、必ず「さあ、来なさい」と呼んでくださるので、怖いですけど、側に行かなければなりません。

その時の心境を説明すると、「虎の前に立っているような気分」でした。虎ってものすごく美しいですよね。でも、ものすごく怖い。そんな感じです。そんなにもこわがっているくせに、私が先生を慕ったのは、その「優しい目」ゆえでした。涼しげな眼差しには、いつも茶目っ気と微笑みが漂っている、そんな目をしていました。先生に稽古をつけていただいてからもう30年経つというのに、あの優しい目は今も忘れられません。稽古は厳しかったですけど、いつもあの優しい目が、私を見守ってくださった。

本当に強い人は、優しいんだ。

私は、そう思っていました。実は、イチローさんの記者会見を見ていて、私はそのことを思い出したんです。イチローさんの目も優しいな、と。

イチローさんも、そもそも天性の才を持っておられるとは思いますが、とてつもない苦労と、努力をしてこられたでしょう。あれだけの選手ともなれば、野球の分野だけのご苦労ではないと思います。こころない批判にさらされたこともあったでしょうし、裏切りにもあったかもしれない。私たちには見えない部分で、きっとそんなこともたくさんあるんだろうと思います。ではないと、あんな優しい目にはならないんじゃないかなと思うんです。苦しみを知っているから、ほかの人へのいたわりや優しさを持っている。あの優しい目は、そういう目です。

大人になってから、楢崎先生がB級戦犯として死刑を宣告され、巣鴨に収容されていたことを知りました。先生が観てきた世界とは、私には想像できないほど過酷なものだったはずです。その果てにあの優しい目があったんだ、と何かものすごく腑に落ちるものがあります。

そんな楢崎先生と、イチローさんが重なるんです。野球と剣道の違いはありますが(ちなみに楢崎先生も、剣道界ではだれもが知る伝説的な剣士です)、イチローさんは、世界中の野球選手から尊敬され、憧れられている特別なひとだと言います。それはとても分かる気がします。あの、「本当に強い人」特有の、茶目っ気たっぷりの優しい目で見つめられたら、ひとたまりもない。天才肌で誰のいうことも聞かないような強い生き物――まるでライオンや虎のような選手でも、コロンと猫のようになってしまうのではないでしょうか。

これからは「人望がないから」なんて冗談はいわずに、ぜひ、監督でもなんでも、人を導くひとになってほしいなあ、と勝手に願っています。ただそこにいるだけでも、その姿を見るだけでも、勉強になるような人です。

特に、子どもにとって一番素晴らしい教育とは、本当にすごい人を見ること、知ることなんじゃないかと私は思います。「あんな大人になりたい」と思える存在がいるということは、何よりの教育です。イチローさんは、まさにそんな人。イチローさんがこれからどう生きていかれるか(にわかファンで恐縮ですが)ワクワクしてしまいます。

あ。

ところで、今気づいてしまったんですけど、イチローさんと私、同い年でした^^;。な、なんと…。こんなにも差があるなんて、びっくり。でもまあ、私は私ですよね!? 頑張って生きていきます。

(むとう)

■以下の動画は、ネット上にある楢崎先生の唯一の動画かも。楢崎先生と同じく9段の谷口先生の対戦を見られるなんて、ほんとうにありがたい。youtubeありがとう!

「日本古武道演武大会」、2015年2月8日東京開催!


毎年行われている、「日本古武道演武大会」。
関東(日本武道館)、関西と交互に行われます。
神楽坂に住んでいたころには日本武道館まで歩いてすぐだったので、何度か足を運びましたが、ここ数年タイミング外してしまってご無沙汰してしまっています。

実は。
今では見る影もありませんが、10代までは剣道少女だったのです…^^;
自分でやらなくなってからは、古武術の演武会を観に行ったりする程度。見るだけ愛好家になってしまいました。

もともと、歴史小説や時代小説好きということもありますが、尊敬する師匠が、剣道だけでなく、甲源一刀流も稽古されており、何度かその演武を見てあまりにかっこよかった…という経験が、古武術への憧れのオリジンになってるのですね。

それにしても古武術(古武道)は面白いです!

剣道は、明治以降に学校教育などに取り入れるために、収斂されていったものですから、潔く正々堂々と…、という感じが好まれますし、そう教わります。

でも、古武術はとにかく生き抜くために、というおおもとがありますから、古ければ古いほど、え?っていうような手があります。そこが面白いんですよね。

そして、この演武会は、一つの流派が5分くらい位ずつ、次から次へと登場して演武を見せてくれるんですが、これがまたたまらない!

時代小説、剣豪小説好きにはたまらない流派が目白押し!

根岸流手裏剣術って、こんな感じなんだ~!
あ、本当に『蹄(ひづめ)』っぽいの使ってる!
(剣客商売ファンにはたまらないですよね^^)

香取神道流ってこうなんだ~!
おおお、富田勢源の富田流、小太刀かああ。

北辰一刀流、天然理心流だ~!幕末~!

……と、おトイレに行く間もないほど次から次へと、本の中で読んだような流派の皆さんが登場してきます。

そんなわけで、今年は絶対観に行きますよ~!

少しでも興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。入場料たったの500円で古武道を一気に見られるんです!絶対お得ですよ~~!

古武道演武大会@日本武道館
2015年2月8日開催
http://www.nipponbudokan.or.jp/shinkoujigyou/gyouji_06.html