仏像ブームを牽引した仏像ガールさんの処女作、約10年の時を越えて、再誕!『仏像の本<手のひら版>』西山厚監修・廣瀬郁実著(山と溪谷社)


2008年。「仏像ブーム」のなかで

フリーになる前に勤めていた会社で作った最も思い入れのある本に、『感じる・調べる・もっと近づく 仏像の本』という本があります。

物心ついて以来ずっと仏像ファンだった私は、どうにか仏像の本を編集したいとずっと考えていましたが、なかなか新しい切り口に出会えずにいました。
……しかし、ある時。

ネットで、『仏像ガール』さんが運営している素晴らしいサイトに出会い、その存在を知りました。彼女は、「仏像は、まず感じることが大切」と言い、シンプルな言葉で仏像の素晴らしさをより多くの人に知ってもらおうと活動していたのです。
私は珍しく即座にメールを送りました。ぜひお会いしたい、と。

そして、仏像ガールさんは、私の(あつ苦しい)思いを、あたたかく受けとめてくださいました。そうして出来上がったのが『感じる・調べる・もっと近づく 仏像の本』だったのです。

2007年から2008年というのは、「仏像ブーム」にわいた年でした。
そんな時代に呼ばれて登場したのが「仏像ガール」さんという様相で、まさにあのブームをけん引されていたと思います。

おかげさまで仏像ガールさんの大活躍により、本は大ヒット。私も、大好きな仏像の本を編集することができ、なおかつたくさんの方に手に取っていただけるという、この上ない幸福感に浸りました。

やせ我慢、そして独り立ちの時を越えて

そして月日が経ち。

私は会社を辞め、フリーランスで仕事をしていますが、古巣のお仕事はこれまでしてきませんでした。
一番の理由は……「もし古巣のお仕事をやるなら、やめないほうがよかった、ということだ」と思っていたからです。
だから、私は苦しいけれどもやせ我慢をして、ほかの出版社のお仕事をさせていただけるように頑張りました。そして、大先輩Hさんのご紹介で、P社のN編集長との出会いをいただき、それをきっかけにどうにかお仕事をいただけるようになりました。

たいして力がないこともわかっていたので、「とにかく全力でやる」と決めました。
調べるならとことん調べる。確認するならとことん確認する。思いつくことは全部やって先生とご相談する…。
何より、「心を込める」ことだけは忘れないようにしよう、と思ったんです。
真心を込めたら、それは著者の先生にも、編集長にも、そして読者にも、きっとちゃんと伝わるはずだ。私はそう信じていました。楽天家なのかもしれませんん。

でも、結果それがよかった。

もちろん最初は失敗ばかりでしたが、真心をしっかりと受け止めてくださる編集長、著者の先生に、ちゃんと出会えました。本当に私はラッキーだったと思います。

10年前の自分と出会うような時

そんな中、私にとって恩人でもある元上司のK編集長から、「仏像の本を作り直したい、ついてはムトウにお願いしたい」という、嬉しい連絡をいただきました。

K編集長は、長らく書籍編集の現場から離れて、八面六臂の活躍をされていましたが、書籍に戻ってきた、というではありませんか。
そもそも、この本もKさんの後押しがあって作ることができた一冊です。
やせ我慢も何も、「ぜひやらせてください!」という返事以外考えられませんでした。

そして、Kさんは、この本をつくった時のメンバー全員に声をかけてくださいました。

仏像ガールこと廣瀬郁実さん、監修者の西山厚先生はもちろんのこと、カバーデザインとイラストを担当してくださったかしわらあきおさんも。
まさにあの時のまま、「仏像の本」チームが再結成されたのです!!

そして、嬉々として再編集作業に入ったのですが…

なんというか、もう。

あの時の自分が、そこにいるって感じなんですよね。
「ああ、ここで時間切れ。力尽きたな」
「なんでこんな不思議なことした?私w」
そんな感じです。

仏像ガールさんや、Kさんとのやり取りも、時の流れをほとんど感じない。10年前の自分に戻ったような、いや、今の自分と昔の自分が重なって存在しているような不思議な感覚でした。

でも、あの頃の自分よりは、だいぶマシになったなあ。
そんなふうに思えたことは、自己満足ですが、ちょっと嬉しかった。
こんなことは、なかなかない経験だったように思います。そういう意味でも、本当に貴重な時間でした。

「仏像と出会う」ことをサポートしたい、という願い

そうして、いよいよ発売日がやってまいりました!

Amazonさんでは、明日(3/5)発売。
リアル書店さんでも今週中には並び始めると思います。

前作よりもだいぶ小さく、持ち歩きやすいようにと、ハンディなサイズになりました。
もちろん、中身の濃度はそのままですよ!
「仏教用語がわからなくても、調べやすいように」と、工夫した構成は変わりません。

郁実さんの優しく語り掛ける言葉、かしわらさんのポップでかわいいイラスト。そしてご紹介する仏像は、郁実さんが大好きなあったかくて素晴らしい仏像ばかりです。一冊持っていれば、お寺巡りも、きっともっともっと楽しくなると思います!

本書は、「超入門書」です。

「まず、知識より何より、『仏像と出会う』という体験をしてほしい」

郁実さんも、監修の西山先生も、いつもそうおっしゃいます。
その体験さえあれば、心も体も動くでしょう。もっと知りたかったら、本を探すでしょうし、もっと会いたかったら何度も足を運んでしまうでしょう。

そんな体験を、読者の方一人一人にしていただけたら、本書に込められたお二方の、そして不肖ムトウの願いは、成就するのです。

今回も不首尾はあるかもしれませんが(すみません;;)、とにかく全力で真心を込めました。ぜひ、お手に取ってみてくださいね!

また、最後になりますが、今回もたくさんのお寺、博物館の皆様に大変お世話になりました。お電話して、皆様の優しいお言葉に何度となく癒されました。本当にありがとうございました。

そして、廣瀬郁実さん、監修者の西山厚先生、デザイン・イラストのかしわらあきおさん、そして、K編集長。改めて御礼申し上げます。ぜひまた、お仕事ご一緒できたらと思っております!

(むとう)