2017年は「慶派イヤー」!①『快慶』展@奈良国立博物館(6/4まで開催中)と『運慶』展@東京国立博物館(9/26-11/26)を見逃すな!


「今年は、慶派イヤーだね」

今年は、年賀状でそんな言葉を書いてくださった先生がいらっしゃいましたが、仏像ファンにとってはまさにたまらない「慶派イヤー」、到来中ですね!

春は奈良博さんで「快慶」展。
秋は東博さんで「運慶」展。

昨年作成されたチラシは、裏表でその二つを印刷されていて、そりゃもうかっこよくて、ワクワクしちゃいました。
どちらが裏表、というわけではありませんが、一面はこの快慶展。そして…
もう一面は、「運慶」展、と!

いずれを飾るお像のセレクトも、むむむむ~、さすが、そうですよねえ、というお像です。
快慶さんならではのいかにも「安阿弥様(あんなみよう)」の阿弥陀如来立像@遣迎院。
そして、
あまりに有名な運慶さんの無着(むちゃく)菩薩立像@興福寺。
か~!たまりませんよね!

……そしてあっという間に2017年。
奈良博さんの「快慶」展が始まってしまいました。
会期はあまり長くないですよね。もう行かれましたでしょうか。油断してると見損ねてしまう!と焦りながらもなかなか日程が定まらず、ひやひやしましたが、私も先週ようやく拝見することができました。

「慶派」とは?

ところで、改めて「慶派」とは何かについて、少しおさらいしておきましょう!
すごくすごくざっくり言ってしまえば、鎌倉時代初頭に活躍した奈良仏師・康慶(こうけい)を始まりとして活躍した一派を言います。
運慶は、康慶の実子で弟子、快慶も康慶の弟子の一人なんですね。

康慶は、奈良仏師の中でも傍系でしたが、南都焼討(治承・寿永の乱)で燃えてしまった東大寺・興福寺の復興造像を、息子や弟子たちとともに請負い、大活躍。幕府要人の仕事もを多く手がけました。
そして、さらに運慶や快慶は、その仕事をさらに発展させ、それぞれが、より本質的でかつ斬新な彫刻様式を確立しました。

それにしても鎌倉時代というのは、すごい時代です。

動乱の時代そしてその後の安定期――こういう時代の転換期には、あらゆる分野で天才が出現するんですね。
仏教も、今も日本仏教の多数を占める多くの宗派がこの時期に誕生しました。この時代の凄い人を並べてみると、「え?この人とこの人が同時期に生きてたなんて、いったいどんなすごい時代なの?」と驚いてしまいます。鎌倉時代とはそんなすごい時代です。

そういう意味でも、仏像造像分野もその例にもれません。

「運慶」と「快慶」。

この二人の巨人が同じ時代を生きた、しかも同じ師匠をいただき、さらに一緒に東大寺や興福寺の造像をしたなんて、ほんとすごいことです。

立場から言うと、運慶のほうが師匠の息子で、跡を継いでますので、快慶は一歩下がっている感じではありますが、それはそれ。
二人の巨人が目指す方向ははっきり違いますから。

今回のこの二つの展覧会は、まさにそのことを明らかにする、という意図もあったのではないかと思います。

(つづく)

祝!第六回歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞!!!7世紀東アジア世界の大動乱を描き切る歴史小説『白村江』/荒山徹著


タイミングを逃してしまい、ご報告できていなかったのですが、編集のお手伝いをさせていただきまして、今年の1月に刊行されました荒山徹先生の歴史小説『白村江』が、このたび第六回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞されました!

そんなおめでたい機会ですので、こちらでもご報告させていただけたらと思います。

最近でも、朝鮮半島、中国、そして日本の間には、かなりの緊張状態が続いていますが、7世紀の東アジアでも、同じような、いえ、それ以上の緊張状態が続いていました。

本書、『白村江』のタイトルにもあるように、「白村江(はくそんこう、はくすきのえ)の戦(たたかい)」としてその緊張はひとつの頂点をなし、そこを分岐点として、怒涛の如く歴史が動いていくわけなんですが、本書は、その有様を、日本、新羅、百済、高句麗、それぞれの視点も入れこんで描き切った、まさに渾身の大作だと思います。

百済の王子・豊璋(ほうしょう)の生きざまを縦軸として、
倭国の葛城(かつらぎの)皇子(中大兄)、蘇我入鹿、中臣鎌子(足)、
新羅の王族・金春秋(きんしゅんじゅう)、
高句麗の宰相・泉蓋蘇文(せんがいそぶん)

が入り乱れて繰り広げられる思惑の応酬に次ぐ応酬。息をつく間もないような、正に怒涛の展開。
そして、それぞれの人物がこれまたとても魅力的なんです!
古代の人物ですから、時間的距離はあるはずですが、今の私たちからしても人間として共感してしまうような魅力的な人物造形です。
そして、随所に光る荒山先生ならではの歴史解釈は正に「荒山史観」とも言える斬新な読み解き方で、本当に面白い!「あああ、なるほど!そうだったのかもしれない…」と膝を叩いてしまいます。

どうしても登場人物の名前が長めの漢字だったり、場所の名前も少々読みづらかったりするかもしれません。出来るだけ読みやすいようにルビを多目に振ったり、巻頭には地図、巻末には各王家の系図も付させていただきました。
そんなものも活用していただきながら、この世界にダイブしてみていただけたらと思います。
もっとも、そんなことをすっ飛ばしても、とにかく読み始めてしまえば、その魅力的な世界観で一気に読み進んでしまうとおもいます~!
ぜひともお手に取ってみてくださいまし!

(むとう)