【山梨旅】「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦先生連載)の舞台へ①武田松姫ゆかりの向嶽寺

20140510-2松姫が一時隠れていた塩山の名刹・向嶽寺へ
大善寺さんを後にして、次は「向嶽寺」さんへ。車で15分ほど。この辺りではけっこう大きな駅・塩山駅のほど近くです。

塩山はえんざんと呼びますが、これは向嶽寺の山号でもありますし、その北側にある小さな山・塩の山からきたものでもあります。数年前に市町村合併で、それまで塩山市でしたが現在は「甲州市塩山」になっています。

この向嶽寺は、「疾風に折れぬ花あり」の中で、とても大切な場所です。物語の主人公・松姫さんが、古府中(甲府)を脱出した後、一時こちらに潜んでいたんですね。

「松姫が臨済宗の向嶽寺を立ち寄り先と決めたのは、この大寺院が南北朝の時代を生きた甲州武田家の8代目・武田信成によって建立された寺だからである」(『文蔵』2014.1月号より引用)

大善寺はもちろん、この界隈には武田家ゆかりのお寺がたくさんありますが、やはりこちらも武田家縁のお寺だったんですねえ。

現役の修行場、の風格
以前、中村先生とN編集長がこちらを訪れた時の感想として「とても広い境内で、今も修行僧がいる現役の修行場、という感じがしたよ」と伺っていましたが、なるほど、想像していたよりもさらに境内が広い!

火災で何度か燃えてしまっているとのことで、古い建物と新しい建物が混在している感じです。尋ねた時間帯があまり良くなかったのか、お坊さんの姿は拝見できませんでしたが、今も修行僧(雲水)の皆さんが修業してるのかな~。

こちらのお寺は非公開のお寺さんなので、境内からそっと拝観します。境内の写真撮るの忘れてしまいましたが、いかにも禅宗らしい佇まいのすがすがしいお寺です。上の写真は、仏殿。ここまでは誰でも入れるんですね。

やはり、資料や地図などではよく拝見していたつもりでしたが、 実際こうしたおとずれてくると、なるほどと腑に落ちるような感じがします。

もし、織田軍がやってきても勝沼から笹子峠のほうに抜けられますし、またこれだけ寺域が広ければ、お坊さんも多かったでしょうし、松姫さん一行を滞在させるだけの場所も十分にあったことでしょう。
そしてこのお寺に滞在したことが、その後の松姫さんの逃亡先を確定することになったのですから、まさに運命の場所と呼んでもいいかもしれません。

そして、ここから次に行く恵林寺さんは、2・4キロしか離れていません。恵林寺さんは武田家の菩提寺。武田勝頼が死んで武田氏滅亡となった後、織田軍によって容赦ない破壊をされたお寺です。

(続く)