「観音の里の祈りと暮らし」展@藝大美術館、開催中!


20140330

こんなに短い期間だなんて、ご存じない方も多いかもしれないので、慌ててアップします!

滋賀県の琵琶湖東から北岸は、観音さんがたくさん安置されていることで大変有名です。特に、高月町(現在は長浜市高月)は、「観音の里」として知られ、全国の仏像ファンの聖地と言ってもいいでしょう。

なぜ「観音の里」と呼ばれるかと申しますと、この辺りでは、観音さんを集落の皆さんで管理されていることが多いのですね。お寺さんがなくなっても、村人みんなで観音さんをお祀りしてきた、そんな場所で、それがまたいいのです!

拝観したい場合は、そのお堂に電話番号などが書かれているので、そこからお電話すると、当番の人(近所で輪番が多いみたい)が、カギを開けて見せてくれる、そんなシステム。
「うちの観音さんが一番きれいでしょ」
どこの堂守の人も、必ずそんなことをおっしゃられるんですが、なんかそれがたまらなくいいんですよね。

私も、高月は大好きで、初めていったのは20の春ですが、それ以来年に一度は訪れていました。ここ最近は関西に行く機会も減ってしまい、最後に行ったのはもう3年前になりますでしょうか。

今回の展示のすごいところは、市指定文化財も多く来ているということかもしれません。言い方を選ばずに言えば、国の指定文化財のようなメジャーなものは少ないのですが、普通だとなかなか足をのばせないエリアの「里の観音さん」たちが勢ぞろい。これらを東京にいながら一気に拝観できてしまうなんて、なかなかありえないお話と思います。

会期が短いので、難しいかもしれませんが、仏像ファンの皆さん、ぜひ観に行ってください!必見だと思いますよ~!

東京藝術大学美術館(4/13まで)
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2014/nagahama/nagahama_ja.htm

 

file.65 芋甚の「小倉あんみつ」


いちにちいちあんこ

昨日は絶好のお花見日和でしたね!
気候もまるで5月のような陽気でしたし、お散歩にもってこいの一日でした。

そんなわけで、私は友人と上野駅で待ち合わせをして、芸大美術館で開催中の「観音の里の祈りと暮らし」展を見てから、ぐるりと根津のほうに廻りました。

根津と言えば、そうです。芋甚さんですね!散歩の途中にもちろん立ちよりましたよ~!

こちらは、小倉のアイスクリームが有名です。アイス最中も美味しいですよね。でも、今日はイートインで、小倉あんみつをいただいてみました。
小倉あんみつ

うわあ。美味しそう!

こんなにたっぷり入って470円です。アイスクリームをダブルにしても530円とかだったかな?下町の心意気を感じますね!
小倉あんみつ

「そのあんみつ、なんだかキラキラしてるね!」

小倉アイスクリームを頼んだ友人(あんみつ苦手)が、私のあんみつを見て叫びました。もともと黒みつをかけてくださってるんですけど、その黒みつが全体をパックして、この照りを生んでるみたいですよ。
小倉あんみつ

あんこはこし餡です。このあんこがまた美味しい!甘さは適度です。甘いけど甘すぎず、豆の味がしっかりと伝わってきます。

小倉あんみつ

そしてもう一つの主役、小倉のアイスクリーム。こちらのアイスはさっぱりすっきりとしています。小倉なんですけど、こってりじゃなくて軽い。こしあんと小倉のアイスクリームは受け持ち箇所が違うって感じで、絶妙なバランスです。

黒みつもたっぷりなんですけど、少し遠くに酸味がある方向の蜜で、まったく飽きません。寒天は弾力強めで、寒天とゼリーの間くらいかな。一気に完食。蜜も飲んじゃいました。美味しかった~♪

それにしましても、やっぱり根津はいいですね!
ほんと、住んでみたいなあ。

芋甚
http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13003559/

 

 

 

講演「運慶のまなざし」山本勉先生を聴く③


興福寺北円堂の「無著・世親」像
さて、より人間に近いお像には、リアリティを加える「玉眼」を用い、超越した存在である如来像などにはあえて「彫眼」を用いる…。そんなルールでこの技術を使い分けているようだ、とされながら、…しかしルールだからと言って、ただ単純にそうしているわけではなさそう、と言い出された山本先生。

たとえば、興福寺(奈良)の北円堂。

20140327

こちらには、あまりにも素晴らしい「無著(むちゃく)・世親(せしん)像」(国宝)が安置されています。

この「無著・世親」、興福寺は法相宗という宗派なのですが、その宗派の祖となったと伝えられている偉大なお坊さまの兄弟なのです。

無著(兄)さんは、釈迦如来の次に仏になることが予言されている弥勒菩薩より教えを受け継いだ人で、唯識学派の大家になりました。世親さんはお兄さんの説得により、上座部仏教から大乗仏教へ転向し、兄とともに教えを広めました。

この北円堂には、そのおおもとになった弥勒如来像がご本尊として祀られ、その両脇には脇侍である菩薩二体、そして少し下がった後ろ側にこの兄弟の祖師像、そして四方には四天王が安置されています。

「玉眼」を用いることで、まるで時空を超えているような表現に
この中で、運慶の手によるものはご本尊の弥勒如来像と無著・世親像の三体なのですが、そのうち無著・世親像のみが「玉眼」なのです。

「玉眼というのは動きをもたらします。この二体だけまるで時が動いているように見える効果があるのです」

先生は、この二体にのみ「玉眼」という技法を用いたのは偶然ではなく、運慶の意図が明確にあったのではないかとおっしゃるのです。

確かに、以前拝観した時のことを思い出しますと…。前側から拝見すると、暗い中から、金色に輝く弥勒如来三尊像の少し後ろに、あまりにもリアルで、しかし超人的な風貌のお像がすっと立っているのが見えました。

その時に、光を吸って目が光るようにみえたことを思い出しました。

濃い陰翳と光。

北円堂はそれ自体が大変美しい八角形のお堂です。このお堂自体、建造が721年という興福寺の中でも最古層に属する建物で、国宝に指定されています。
私が観た日には、ものすごく美しい秋の日で(秘仏なのでご開帳の日は限られています)、開け放たれた戸の向こうに青い空が見えました。そっとお堂の中に足を進めると、その瞬間、深い陰翳の世界に入り込みます。そしてその陰翳の中に浮かび上がる金色の三尊像と、無著・世親像の深い悲しみと赦しをたたえたような優しい目がスーッと私のほうに……。

なるほど、金色の仏さまたちはあまりに完璧すぎてこの世のものとは思えませんが、その間に無著さんと世親さんがいて、その隔絶した距離を少しだけ埋めてくれてるような気がします。

「時空を超える表現、ですね」

なるほどなるほど!
確かに、無著・世親像はまるで生きている優しいお坊さまのように、その超絶世界と私たちをつなぐそんな役割をしてくれてるんじゃないか、そんな風にさえ思えます。

「運慶は、群像全体を見据え、相互関係を考えて、一つの像に最もふさわしい姿や表現を与えているのです」

…ふかい。深いですね~!

このお堂の中には法相宗の根本というべき世界観が表現されているんじゃないかと思いますが、そういった世界観を表現するうえで最善の手法を用いて、運慶は造像したんじゃないかということでしょうか。

それにしても、先生のお話を伺ってますと、視界が広がっていきます。

このように一つの観点をおしえていただくと、それを突破口にして、また新しい気付きをいただきますね。「運慶のまなざし」という講演タイトルがまたなるほど、と思われてきます。玉眼という技法をどう使いこなすか…という視点を通して、繊細で深い運慶の「まなざし」を感じることができるような気がしました。

運慶のお像を改めて拝観しに行きたい気持ちがむくむくと。知るって本当に楽しいです!

*************
この講演二時間を三回にわたってレポートさせていただきましたが、私の無知はいかんともしがたく、ごくごく一部をご紹介させていただきました。

山本先生、そして無料でこのような素晴らしい会を開催してくださった小学館さん、本当にありがとうございました!

(終わり)

「疾風に折れぬ花あり」(中村彰彦著)、第7回「天の咎め」掲載!!


昨週、中村彰彦先生の「疾風に折れぬ花あり」、第7回目掲載の『文蔵』2014年4月号が刊行されました。
20140327『文蔵』もすっかり春の装い。桜の花と三毛猫とアリのイラストが、春気分を盛り上げてくれます。

さて、そんなうららかな雰囲気とは裏腹に、「疾風に折れぬ花あり」は、どうにもこうにものっぴきならない状況が続きます。
物語は現実世界と同じ、3月。旧暦ですので、今の暦でいうと4月の出来事です。そんな春のさなかなのに、前号の回で武田家当主・勝頼さんが天目山の麓で自刃、ついに名門武田家嫡流は滅んでしまいました。

さて、今回は勝頼さんが死に、織田軍による残党狩りが始まる……というところからお話が始まります。

戦国時代、ちょっと都合のいい立前かもしれませんが、敵方に味方すると決め、そのために今の主を裏切ることを「返り忠」と呼びました。
なぜ「忠」かというと、次の主のための「忠」なわけですね。

当時は、そのようなことがよく行われていましたが、織田軍は「返り忠」を許さず、織田軍に味方したものでさえ、徹底的に殺してしまいました。
また、一種の聖域でもあるはずの、お寺も例外ではありませんでした。織田信長は比叡山焼き討ちができてしまうような人ですからね。武田家縁のお寺も難癖をつけてどんどん焼き討ちしてしまいます。

本編の主人公である、信玄の末娘である松姫さんも、見つかったらタダではすみません。さてさて。松姫さんの運命やいかに……!!!

今回も緊張感あふれる展開です。ぜひお手に取ってみてくださいね!

 

 

file.64 平野屋の「虎豆の甘納豆」


いちにちいちあんこ

豆の中で何が一番好き?と問われたら、ずいぶん迷って結局「虎豆」と答えるだろうと思います。

アズキはもちろん大好きだし、金時豆もえんどう豆も何でもかんでも大好きなのですが、その中でもやっぱりちょっと特別なのは「虎豆」なんですよね。

子どものころ、よく母が豆を炊いてくれたんですけど、虎豆はちょっとお高いので、「たまに」のご馳走でした。

さて、以前もご紹介しました平野屋さんの甘納豆を、H山先生からまたしてもいただいてしまいました!
こちらの甘納豆は本当に美味しい。前回いただいた時も、家族一同驚愕して、奪い合いになった記憶は鮮やかです。ウフウフ言いながらひらいてみますと…

anko20140326-1

おおお!

なんどみても美しい包装!
そしてこの一番下にある豆は、これは「虎豆」ではないですか!?

やった~!
甘納豆

こうして並べてみますと、どれも本当に美しい!

左から虎豆、おたふく豆、えんどう豆です。

おたふく豆とえんどう豆は、前回いただいたときにも入っていたので、虎豆は今回が初見!おたふく豆もえんどう豆も本当に美味しいですから、虎豆も間違いないでしょう。

そしてさっそくいただいてみましたら…

完璧。カンペキです!
虎豆の風味はそのままにふっくらと、でもしっかり甘く炊かれています!

いいわあ。これはいいわあ。

本当に美味しい。

私は心が狭いので、この虎豆の袋だけは仕事部屋にもっていき、家族にはちょっと味見させただけで、ほぼすべてをいただきました。

H山先生、今回もありがとうございました!!

平野屋
http://tabelog.com/tokyo/A1312/A131203/13105193/

 

 

戦国時代のあの三人を描く「あるじ」シリーズ第一弾!『あるじは信長』/岩井三四二著


歴史上の人物で人気ランキングを作れば必ず上位に上がってくるであろう「織田信長」。ですけども。

皆さん、織田信長ってどう思われますか?

彼がやってきたことを見ていきますと、正直言ってなんだってこんなに人気あるんだろう、って思ってしまうようなほんとうに難しい人物です。でもこういう苛烈な人物像というのは、やっぱり表現者の方々の創作意欲を書きたてるんでしょうね。それこそありとあらゆる「信長像」が創作されてきました。悪の権化だったり、悲しみを抱えて傷つきやすい青年だったり、マザコンだったり、実は女性だったり、両性具有者だったり。

ほかの人物でここまで様々なイメージで描かれた人物はまずいないんじゃないでしょうか。そう考えますと、やはり、魅力的な人物なんだと言わざるを得ないですね。

ただ、どの作品にも共通して描かれているのは、信長に振り回される家臣たちの姿かもしれません。実際、こんな人物が上司だなんてたまらないですよね。
本当に大変だと思いますよ!
とにかく絶対的な成果主義。心の休まる暇もなさそう……。
個人的には 「上司にしたくない歴史上人物ナンバー1」なんじゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。

さて、前置きが長くなってしまいました。今回文庫化のお手伝いをさせていただきましたのが、そんな家臣たちを主役にした岩井三四二先生の『あるじは信長』です!
20140425様々な立場の家臣たちが、それぞれ主役として登場する短編集です。

さすが岩井先生、と言ったセレクションなのですが、武将はもちろん、ほかにもいろいろな職種の人物が登場します。例えば、現在の書記官のような職業「右筆(ゆうひつ)」。お茶道や有識故実に詳しくその面で使える「同朋衆(どうぼうしゅう)」。相撲とりとして身辺警護も務める「御小人(おこびと)」などなど。

それぞれの立場・身分から、「信長」に仕える8人の人物たちが登場し、かれらを通して「信長」という人物像・有名な事件が描かれる…、という趣向です。

岩井先生ならではの、軽妙で明るいタッチでちょっと「とほほ」な雰囲気が何とも言えない連作短編集になっています。ですので、とても気軽に手に取っていただける読後感なのですが、実は、史料を読み込むのが大好きだという岩井先生でなければなかなか描けないような、相当な歴史的情報もしっかり組み込まれたお話なのです。信長には詳しい、という方にもぜひおすすめです。ちょっと違って側面から「信長」を見ることができるんじゃないかと思います。

そして本作は『あるじシリーズ』第一弾でして、第二弾は『あるじは秀吉』、第三弾は『あるじは家康』となっております。

「あるじ」はだれがいいか、…そんなことを考えながらそれぞれお読みいただくのもすごくお勧めと思います!

ぜひお手に取ってみてください!

 

 

file.63  梅月園の「さくら葉餅」


いちにちいちあんこ

今日はすっかり暖かくて、まさに春!ってかんじでしたね。

まさに春!って感じですが、私は普通に仕事してました。日曜日働かなくちゃいけなくなるのは、フリーの定めかもしれません。

そんな私にもちょっとだけ春がやってきました。
さくら葉餅うちの両親が河津桜を観に行ってきて、お土産にと買ってきてくれたのがこちら「さくら葉餅」。
いいですねえ。春って感じで!
さくら葉餅薄いお餅に、立派な葉っぱが二枚。いわゆる桜餅とは違って、桜の葉っぱが主役ってかんじかも。これだけ葉っぱがつかわれてますと、ちょっと葉要素強すぎないかな?と少々不安になるワタクシ。
さくら葉餅お餅がほわ~んとしてて、なんともいい感じです。どれどれ、じゃあさっそくいただきましょうかね。
さくら葉餅お、こしあんです。桜餅はやっぱりこしあんですよねえ。それにしても、この葉っぱ要素強めな感じ、果たして大丈夫なのか…。

…おおお!いいですね!!
葉っぱが邪魔してない、というか、甘さ控えめなこしあんと白いお餅と絶妙に合ってます。ちょうどいいですね。葉っぱの塩気がまたちょうどよい!

ネットで調べてみましたら、この梅月園さんがあるところ・松崎は、桜葉塩漬けの名産地なんだそうです。だからこその「桜葉餅」なわけですねえ。葉脈のところも気にならないやわらかくて上質な葉っぱですよ。なるほど、なるほど。桜の葉っぱが主役な和菓子なんですね。
#それにしても松崎の銘菓?…両親は河津に行ったんじゃなかったのかな、という素朴な疑問はちょっとこの際置いておきますけども。近いんでしょう、きっとw。

それにしても、春がきたー!って思いました~。
季節を感じさせてくれる、…これぞ日本の和菓子って感じですね!

梅月園
http://www.izubaigetsuen.com/

 

 

今回も江戸っ子ワールド炸裂!ついに第二巻発売です! 『おけら長屋(二)』/畠山健二著


昨年夏に刊行、大好評を博した『おけら長屋』、ついに続刊登場!!
私にとって時代小説は長らく「癒しの本」でした。嫌なことがあって泣きたいときに山本周五郎さんを読む。嘘をつかれて人間不信に陥った時に池波正太郎さんを読む。 希望を失って仕事をやめようと思ったときには、司馬遼太郎さんを読む…。まさしく「心のよすが」です。

「そんなに好きなら編集してみれば?」と思われるかもしれませんが、文芸ジャンルのない出版社に勤めていたので、それはほとんど不可能なことだったのです。
ところが、フリーになってから、N編集長にお仕事いただくようになり、思いがけず時代小説のお手伝いもさせていただく機会をいただきました。自分がフリーになって最も幸福なことは、まさにこのことだと思います。 自分にとってそれほど愛してやまないジャンル「時代小説」にかかわらせていただけるようになった…。本当に、夢のような出来事です。

さて、そんなわけで、担当させていただくだけでもうれしいのですが、中でも、ものすごく思いを込めて担当させていただいたのが、今月いよいよ発売されます、畠山健二先生の新刊『おけら長屋(二)』なのです!!

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『おけら長屋』の一巻は昨年7月刊行され、大好評を博しました。
私も、校正だけ関わらせていただきました。そのリズムの良さ、心に迫るセリフの数々に感動し、校正として読まなくてはいかないにもかかわらず、胸があつくなってついつい「読んで」しまったのです。校正者はそういう部分を切り離して確認していかないといけませんけども^^;;、心のほうに響いてしまったんですね。私はすっかりファンになってしまいました。

さて、そんな一ファンな私に、なんと第二作を担当しませんか?とのご依頼が!
実際に畠山先生とお目にかかった時にも、N編集長と先生からそのように言っていただいて、本当に天にも昇るような気持ちでした。

畠山先生は、 もともと落語の新作を手掛けるなど、演芸作家としても活躍されておられる方なので、とにかく洒脱で陽気。そして何より優しい先生です。まさに「江戸っ子」とはこういう方のことを言うんだなあ、と埼玉生まれの私は感心してしまいます。『おけら長屋』は、いうなれば畠山先生の分身、みたいな気がしますね。江戸っ子の粋、洒落、人情が山盛りなんです。

関係者全員が撃沈!泣かずにはいられない最強の一冊。
それにしても、これだけ「読んで」しまう本はなかなかありません。
「私は今、仕事で読んでるんだ、仕事なんだ」
そう自分に言い聞かせないと、読んじゃうんですよね。ついつい先へ先へ、と読み進めてしまうんです。

そして、ルビを振りながら涙が止まらない。何度も読んでるのに、ここでまた私泣いちゃってるよ、と自分でも少々あきれるくらい。ちなみにその「泣き」多発地帯は、三番目に収録されている「まよいご」というお話です。長屋の問題児ともいうべき、万造さんが、迷子を拾ったところから始まるお話。

もうね。たまらないんですよ。万造さんと迷子の勘吉とのやり取りが…。血のつながりがあるわけでもない、であってまだ間もない。それでもこれだけ人は人を思いやれるものか、とおもうのです。……って、この文章書いてまた目頭が熱くなってしまうんですからもうどうしようもありません。

そのほかの作品もすべてぐっとくるんですけど、すごく簡単にご紹介しますと次のようなあらすじです。

1.一作目で湯屋で襲われ妊娠してしまったお梅ちゃんを嫁にもらうと決心したはずの久蔵(21)が元気がないことを見て、おけら長屋連中がおせっかいを焼く「だいやく」。

2.詐欺商法に危うく巻き込まれそうになる隠居を長屋連中が救い、詐欺師たちに意趣返しをする「すていし」。

3.長屋の問題児・万造が迷子を拾って、心を通わせる「まよいご」。むとうの泣き多発地帯。

4.長屋連中に慕われている武士・鉄斎の、元主人である高宗公がお忍びでおけら長屋にやってきて巻き起こる騒動「こくいん」。

5.おしどり夫婦の八五郎とお里の夫婦喧嘩から明らかになる20年越しの切ない思い「あいおい」。

6.市中を騒がしている辻斬りに長屋の佐平が切られ、さらに容疑者として鉄斎がつかまってしまい長屋全体で捜索する「つじぎり」。

読む人によって、また読んだ時の心境によってぐっとくる作品が変わる、というのが畠山先生の作品の特徴かもしれません。

N編集長は、「やっぱり笑いがたくさん入ってる「すていし」が好きだなあ」とおっしゃっておられましたが、本が出来上がる寸前になって「でも「まよいご」もいい。泣ける」とおっしゃられてました。

私もどのお作もそれぞれ大好きですが、やはり第3話の「まよいご」、それから「こくいん」の男の友情もたまらないし、「あいおい」の夫婦の愛情も、「つじぎり」の人情もいい!!どうも私は「泣き」に弱いようで、まよいごだけでなくいろんなところでウルウルきているのですが……

「おれも読み直してみたら涙が出てきちゃったよ。自分で書いたものに泣いちゃうなんておかしいよね。でも百田さんも自分の作品に感動できなかったら読んでくれた人だって感動できへんやろ、それでいいんや、っていうからそれでいいよな(笑)」

畠山先生もそんなふうにおっしゃる。畠山先生は百田尚樹先生の親友でらっしゃって、今回も帯に推薦の言葉をいただいてるんですが、百田先生も「泣いてもうた!」と言ってくださってますので、全方位的に関係者が泣いてしまってるという、おそるべき本、と言えるかと思います(笑)。

そんなわけで、ぜひみなさま。お手に取ってみてください!
そしてぜひ皆様の『おけら長屋』の御贔屓を見つけてください!

(むとう)

 

file.62 ういろうの「クリームあんみつ」


いちにちいちあんこ
関東では第二位の古さを誇る和菓子屋「ういろう」

ついにやった……!

一言でいうと、そんな気持ちです。

先日、イシブカツで箱根にいったおり、乗り換えをした小田原で、どうしても行ってみたいんです!と石造(女)センパイにお願いして立ち寄った「ういろう」さん。別名「小田原ういろう」さん。

実は実は。
この「ういろう」さん、関東において第二位に古い創業年を誇るお菓子店で、かねてから行ってみたいと思っていたお店なのです!!!

「外郎(ういろう)」さんは、もともと中国(元)出身の外交官として活躍していた家柄で、元の滅亡とともに日本に帰化しました。その時、本姓の「陳」ではなく「外郎(ういろう)」と名乗り、それ以降、室町幕府に外交で仕えました。

ちなみにこの外郎家には秘伝の薬があり、それがよく聞くと朝廷で珍重されたんだそうです。そのため、その薬を「ういろう」、また、お客をもてなす時に出したオリジナルのお菓子もあってそのお菓子も「ういろう」と世間の人が呼んだ、そうです。

小田原の「ういろう」さんは、創業1504年。創業者は外郎家五代目、藤右衛門定治(とうえもんさだはる)。北条早雲の招きで小田原に招かれ、武士として京都との外交を担当しました。本業は武士ですけど、薬とお菓子の製法は一子相伝で小田原に伝えられたんだそうです。

全国で見ても、創業古い順では13位(むとう調べ)。ちなみに、関東で最古のお菓子屋さんは塩瀬総本家さん(全国では第7位)。

さらに余談ですが、現在も操業している最古のお店は、京都にあるあぶり餅の名店「一文字屋和助」さんで、創業は1000年(長保二年)。平安時代末期に創業されたお店が今もあるってすごいですよね。

薬店と併設の和菓子店
さて、前置き長くなってしまいましたが、その現在のういろうさんをご紹介してまいりますよ。

ういろう

本店は、もう少し駅から離れたところにあるそうですが、駅前店にお邪魔しました。

すごい!
なんと調剤薬局と併設なんですよ!!

こんなお店初めてみました。

このお店の中に、テイクアウトのお菓子を売るカウンターと、喫茶コーナー、それに薬局が併存してるのです。ちょっと不思議ですが、お店の歴史を考えますと、正しい。創業者からの家業を大切に今も守っておられるということですから、感心してしまいますね。

さて、こちらでは、さっそく「ういろう」を試食させてくださいました。

正直言って、私はあまりういろうは好きじゃないのです。ういろうというと名古屋土産という印象ですよね。たまにお土産でいただいても、「うーん、お餅が食べたい」って気持ちになってしまって、ね。まあ好みだと思いますけど。

しかし、こちらのういろうは違いました!

すごく美味しいんですよ!
目から鱗が落ちる、とはこのことです。なるほど、これはお餅にもないし、お麩にもない美味しさ、つまり「ういろうである」理由がちゃんとあります。

試食でいただいたのは黒砂糖のういろうで、
「こちらの黒砂糖のお味が、創業当時から変わらず作っております味でございます」
と店員さん。店員さんの対応がまた素晴らしい!言葉遣いが美しく、丁寧であったかい。

ううむ。さすが老舗。しかも武家出身のお店らしい質実な上品さです。

さて、それはともかく、喫茶コーナーに移動。
くりーむあんみつ

悩みましたが、ういろうを使ったお菓子はお土産で買うことにして、こちらではクリームあんみつをいただくことにしました。

「お、塩昆布。そして、黒文字…」と石造センパイ。
「あんみつやおしるこに、ちょっと箸休めを添えてくれるお店っていいよね」。そういってにっこり。

そして、この黒文字(菓子楊枝)。あんみつに黒文字って不思議な感じがしますが、ひょっとしたらこのイチゴや何かを食べるためかな、と言い合い、丁寧だなあと感心する二人。
あんみつ

イチゴ以外にも、バナナ、お花の形の羊羹と、たぶんういろうが載ってます。
あんみつ

これ、たぶんういろう。
ぎゅうひ??ういろう??と首を傾げながら食べました。でもたぶん、というかせっかくですからういろうであってほしい…。

あんみつ

そしてあんこ!!
これがまた濃厚で美味しい!

ういろうのお店ですが、このあんこもそうですし、羊羹も、また白あんこ(試食させてもらったのでした^^;)も美味しい。すべてに気配りされている感じです。全体的にとても丁寧で品がありますよ。

そして、ソフトクリームがまたよい!
甘さ控えめで、酷の強いソフトクリームで、抹茶の味もかなり強い!

いやあ、感心しました~!

近くにあったら週一で通います。ほんと、いいお店です!
二人とも大満足。幸せです。

そして帰りには、お土産にお店の方お勧めの「生ういろう」を買いました。明日はこちらもご紹介したいと思います♪

ういろう
http://www.uirou.co.jp/uiro.html