イシブカツvol.10  あついぞ!熊谷&深谷④妻沼聖天で狛犬にはまる

イシブカツ

お昼ご飯はもちろん肉汁うどん!
さて、深谷で予想以上にアツイ体験をした私たち。もうすっかり正午を回っていました。
お昼には、もちろんうどん!あらかじめリサーチしておいしいと評判のお店「利休」で肉汁うどんをいただきました。
武蔵野うどん期待通りのうどんです。パワー倍増!ただ、病み上がりだったので、うどん並盛でお願いしたら、思ったより並盛が普通だった…
「もうちょっと盛りがよくてもペロリだったなあ」
と私。いや、実は、武蔵野うどん系のお店って、並盛でも相当な量なんですよ。ほかのお店ならこれは小盛りと言っても過言ではない…ような気がする。

「さすが、うどん好きは病み上がりでも変わらないようだね」
そういって石造センパイは妙に感心して微笑んでくれました。

「妻沼の聖天」さんへ
さて、美味しいうどんをいただいてすっかり元気になった私たちは、熊谷の北部にある「妻沼の聖天」さんへと向かいました。

こちらは、本殿が国宝に指定されたばかり。江戸時代の華麗な彫刻で有名なお寺です。ちなみに、これまた鎌倉時代の有名人「斎藤別当実盛(さいとうべっとうさねもり)」さんゆかりのお寺。
この人は、関東の地にありながら、最後まで平家への忠義を突き通した人で、義理人情に厚い勇猛な武士として高名でした。晩年、木曽義仲軍と戦って戦死した時。勇猛に戦った武士をだれかと確認するために兜を取ると、髪を黒く染めた老人で驚いた、というエピソードで有名。

それにしても、鎌倉武士の鑑ともいうべき人が、この辺りには多いですねえ。斎藤実盛さん、熊谷次郎直実さん、畠山重忠さん、そして深谷でご紹介した岡部六弥太さんも…

さて、この聖天さんですが、実盛さんが念持仏の聖天像(秘仏)をお祀りしたことをはじまりとし、その次男の方が出家し、お寺を開創したんだそうです。
#聖天さん、というのは「歓喜自在天」「大聖歓喜天」の略。仏教の神さまですが元はインドの神ガネーシャのことですね。
聖天山

立派ですね~。こちらの三門は江戸時代以降のものですが、重厚で美しいです。
本殿そして本殿。こちらが国宝です。
もうお分かりかと思いますが、こちらの本殿は、日光の東照宮みたいな方向性です。江戸時代中期の貴重な文化遺構としての国宝指定だったとのこと。

正直言って、あんまりキンキラしてるものは、ピンと来ない石部のふたり…。石造物が好きだと言ってるくらいですから、ね。キンキラとは無縁なのです。
本殿実は聖天さんにやってきたのは、境内にある板碑を見ることが目的なので、私たちにとってはそちらが主役です。しかし、やはり「ちゃんと本殿にお参りしてご挨拶するのも筋ってもんよね」ということでの御参りです。

いや、でもものすごい彫刻でしたよ!!
彫刻お好きな人は必見です。すさまじいものでした。

もちろん私たちも大変感心しましたが、しかし私たちが足を止めてもしまったのは…
獅子
おお!!??

獅子

なにこれ、この狛犬、っていうかお獅子めちゃくちゃ上手なんですけど!

阿形獅子

おおおお、阿形のお獅子も、素晴らしいんじゃないの??

阿形見てください、この見事な背中と尾っぽ。背骨と筋肉の表情!
背中この背中の筋肉のリアル感とまるみの表現、ただごとじゃありません。ものすごい上手ですし、また、この作者は動物が好きだったと思います。よく観察し、デッサンしてないとこうはなりませんよね。
背中いいですね~~。この佇まい、丸っとしててたまらないですね。

本当にこのお獅子は素晴らしいです!私がこれまでに見た狛犬中でも5本の指に入りますよ。特にこの背中の表現だけとればナンバー1と言ってもいいです。個人的ランキングですけどね。

(続く)

イシブカツvol.10  あついぞ!熊谷&深谷③上杉さんもすごいです。

イシブカツ

南北朝時代の深谷もアツイ
さて、前回は、この深谷という地がいかに文化度高かったかについてアツく語ってしまいましたが、その流れは今回も続きます。

岡部さんの墓からこれまた車で10分ほどの至近距離に、国済寺という立派な禅宗のお寺があります。
国済寺三門

立派な三門ですね~。かっこいいです。
こちらの創建は1390年。今から600年ほど前ですね。時代としては南北朝時代です。前回ご紹介した、岡部六弥太さんが生きた時代から200年ほど経過しています。

国済寺

本堂も立派です。堂々としてますよね。残念ながら何度か火災に遭い、当初の建物ではないそうですけど、そのたたずまいは十分に残しているのではないでしょうか。

ところで、こちらのお寺を開創した人は、上杉憲英(うえすぎのりふさ)さんという武人なのですが、実はこの方のお父さんが、足利幕府を開いた足利尊氏の従弟さんなのです。

上杉氏というのは、もともと公家の家柄で、藤原氏の血筋なのですが、足利氏と縁戚関係を結んだりして土着し、武人化した一群。南北朝から戦国時代の長きにわたり、武人の名門としてその名を馳せていきました。

このお寺は、上杉憲英さんが、当時不穏な動きを見せていた新田氏を抑えるために、お父さんから派遣されて築城した、廰鼻和(こばなわ)城の南側に建てられました。

廰鼻和(こばなわ)上杉氏の菩提寺
さて、このお寺には上杉憲英さん以下、廰鼻和(こばなわ)上杉氏累代のお墓が残されています。ちなみに、当初憲英さんは「コバナワ上杉氏」と名乗っていたそうですが、その数代先の子孫から「深谷上杉氏」を名乗ったそうです。
深谷上杉氏累代の墓

これが、その累代の墓です。すみません、中央に見える白い影は石造センパイです。幽霊とかじゃないですから!ご心配なく!
#センパイが最初のご挨拶で手を合わせて、振り返ったところを撮ってしまいました。しかし全体写真はこの写真しかなかったので、先輩のお姿はぼかしてお届けしております。

さて、先輩のお姿で隠れてしまってますが、中央の覆屋のしたにある宝篋印塔が、憲英さんのお墓で、左右に並んでいるのが一族の墓標とのことです。こちらも立派ですね。きれいに清掃されて清々しい空気です。墓地ですけど、怖くないですよ!

上杉憲英墓

資料によりますと、時代が室町とのこと。なるほど、全体的にちょっと華奢で細身な宝篋印塔です。時代が室町とされている、ということは、本人が亡くなってからしばらくたって、供養塔として建造されたのかもしれませんね。

初めてみる墓石の形

上杉氏累代の墓

さて、そして、左側にあります累代の墓。

「…こういう形のものは初めて見るね」

と石造センパイ。確かに、こういう形のものを墓標として見るのは初めてです。祠のようなかたちですよ。

「祠っぽいですけど、奥行きが浅くて横長な感じがちょっと違いますよね。なんなんだろう…。よくあるものなんでしょうか」

思わず黙り込む二人。一年ほど前に、南会津村に行ったときにも、こんな石造物は見たことがあるような気がしますが…↓。
南会津村の石造物全然違った。祠ですよね。改めてみると。
ところが、こちらのものは、「家型の埴輪」に似ているような気がする…。

ナゾの石造物

さらに謎なのは、軸部、というか屋根の下の部分。幾何学模様にぬいてあるんですよね。こういうのをわざわざ開けるというのは、ひょっとしてこれ、中に灯心いれたりしたのかな?と思って、可能な範囲で覗き込みましたが、どうもそんな様子はない感じ…

ハート形の窓

「それにしても、これなんて、ハート形じゃん!」

石造センパイが興奮するのもよくわかります。実はこのハート形、私たちにとってとても馴染み深いものなのです。

ハート形といえば、朝鮮伝来の形で馬具飾りなどに好んで用いられ、日本でも古墳の副葬品などに散見される「心葉形(しんようがた)」を、想像してしまうのです。というのも、私たちの師匠、N先生もこの形を好まれて、さりげなく灯籠の意匠に用いられてました。なのでとても見覚えのあるものなのです。

実際、この深谷のあたりから熊谷、また群馬のあたりには古墳がたくさんありますし、そうしたところからこの意匠の馬具装飾などはかなり出ています。関係ないかもしれませんけど、なんか関係あったら面白いなあ。かなりな妄想ですけどもww。

それにしても、これ、いったい何というものなんでしょう。どなたかご存知の方、ぜひ教えてください!!

(続く)

福田豊文さんの新作『どうぶつの赤ちゃん』、発売!

夏休み真っ盛りです。お盆休みの今週は、特に親子連れを見かけます。私の事務所の近くにある動物園では、ナイトズーも開催しており、大人気。

私もナイトズーに行きたいのはやまやまですが、このあまりの暑さにすっかり怖気づいてまだこの夏は行けていません。夜になっても気温が下がらないのがねえ^^;、どうも…。

そんな折、前の出版社でお世話になった編集の先輩がた、写真家の福田豊文さんが、たまたま近くの印刷工場で印刷立ち合いにいらして、打ち上げに誘っていただきました。

久しぶりの再会、動物バナシに花が咲く!

このメンバーでお話をすると、改めて「生き物って楽しいよな~」と思うのです。生き物の不思議な生態、多様な生の在り方、またそれを追いかける生物好きの皆さんの愛に満ちた面白い行動…(笑)。
福田さんのお写真を拝見すると、その「愛」をバシバシ感じます。よく知っているはずの動物でも、「あ、こんな表情するんだ!」と驚かされます。

そんな福田さんに、新刊を頂戴しました。

どうぶつのあかちゃんばかりを集めているという、反則的にかわいい写真絵本です!
犬や猫、チンパンジーやライオン、虎、カピバラといった動物、全部で25種類!

どのページも可愛すぎますが、私の場合特にこの…
ライオン

(P16-17より引用)

この表情!!!!
子ライオンちゃんが、母ライオンに頼りきっているこの安心に満ちた表情。素晴らしいですよね。そして…
シロクマ

ホッキョクグマさん、ダイブ!決定的瞬間です!
そして、すごいのはこのダイブしているときのホッキョクグマさんの表情。「やった~♪」みたいな何とも言えないいい顔してるんですよね。

この本は、子供向けの写真絵本ですが、写真集として見ても、動物好きをうならせるようなお写真がたくさん掲載されています。ほんと素晴らしい。

もちろん子供たちにもぜひ見てもらいたい!今度、姪っ子が遊びに来たら一緒に読みたいな、と思います。たぶん彼女も喜ぶはず。

福田さん、素晴らしいご本、本当にありがとうございました!