【犬スペシャル】土佐犬に会いたい②大志を抱きたくなる桂浜と闘犬センター

大志を抱いてもいいですか
さて、Sさんとお別れしてから、JR高知駅のロータリーに向かいます。バスに乗りこんで、闘犬センター、もとい桂浜を目指しました。

桂浜といえば、坂本竜馬、と連想しますよね。実はこれなんでだか知らなかったんですけど、実際この場所で何か歴史的事件が起こったとかそういうことじゃないんですって。割と近くに実母の実家があり、そういった縁からこちらに銅像と記念館を建設したので「桂浜→竜馬」、というイメージになったみたい。

桂浜の波。なぜか全景写真がない。どうして普通の写真をとらなかったのか自分がわからない。

それにしても美しい浜でした!
すごく小さいきれいな丸石がころころしてて、砂浜というよりも小さな石の浜って感じかな。波がざっぱーんと打ちよせる感じが外洋に接してる浜であることを感じさせてくれます。ここは流れが非常に難しいので遊泳は禁止されているとのこと。いや~なんかそれも納得の雄大な風景!

それにしても…何でしょう。ここに立っていると、妙に大志を抱きたくなるっていうか。
へんにテンションが上がって、「おりゃ~やるど~!」とか叫んだり、走りだしたりしちゃいそうな、そんな気配に満ち満ちています。うずうずとしてくるというか。

しかし、私は出張中で、思い切り「スーツの女」です。足元は皮のパンプスです。日曜日の午後に、この姿で一人で桂浜に来ているという段階で、周囲の人が少々心配な視線を投げかけています。ここでこれ以上、善良な皆さんを心配させる行為は慎もうと思い、靴を脱いで足を水に浸すだけにとどめました。
女の一人旅というのもなかなか気を使うものなのです。

いよいよ闘犬センターへ
さて、この浜のそばにあこがれの闘犬センターはありました。見た感じ、よく伊豆の浜とかにある「お土産海産物センター」みたいな感じの流れです。
早速入園料を払って時間をチェック。ここでこなすべきなのは、横綱犬の土俵入り、闘犬、子犬との触れ合い、この三点。この当時いくらだったかちょっと忘れてしまいましたが、現在の料金を見ますと全部で2000円みたいですね。

闘犬を観戦したくない方には、土俵入りと子犬との触れ合いだけなら500円みたいなので、こちらをお勧めします。
正直言って、私の場合、闘犬は見たくありませんでした。土佐犬は見たいですが、犬が戦いあうのを見るのは気が進まなかったのです。しかし、その「戦う」ということも彼らの属性なのですよね。そう考えて、ちょっと躊躇しましたが、やはりこれは見た方がいい、と考え観戦しました。

横綱、かっこええ!!
さて、横綱登場です!
土佐犬は、マスチフ、ブルドッグ、和犬などいろんな犬種を掛け合わせて作られた犬なので、いろんな大きさがあるんですって。小型、中型、大型、超大型の階級があって、この横綱君は多分「超大型」にあたるのかな?超大型は56kg以上だそうなので、この子は横綱ですからさらに大きいですよね。

その時の説明では、実際闘犬を行うのは中型犬が多いとのお話でした。なので、恐らく今日もこの子が戦うわけではないみたいです。まずはデモンストレーションってかんじでしょうか。それにしても、すごい貫禄です。

静かなる闘い
さて、横綱が下がって、今度は二頭の土佐犬が入ってきました。確かに先程の横綱と比べますとかなり小さい。全身が細身で機敏な感じです。
闘いが始まっても、ものすごく静か。なぜかというと「鳴き声、唸り声、走る、威嚇する」、こういったことをすると即「負け」なんですって。なので、二頭はお互いの喉元にかみついたまま、離れません。

時に頭を振りあうので、その時には周囲に涎が飛び散ります。私は一番前の席にいたので、たまに涎の雨が降ってきましたが、何か神聖なもののような気さえしました。

結局、勝負は引き分け。
離れようとしない二頭の鼻面に火を押し付けてようやく離れさせました。

それにしても、想像していた闘犬とはまるで様子が違いました。血が飛び散るわけでもなく、犬の鳴き声や唸り声もありません。
ただ、静かに二頭の闘気がぶつかり合うのを目撃した、という感じです。闘犬は残酷なもの、と思ってましたがこれを見る限り、ちょっと別物な気がしました。

これからもずっと闘犬を見続けたいか、と聞かれたらあれですけど、この機会に見てよかったです。少なくとも土佐闘犬の本質の一端を見ることができた気がしました。

子犬、めちゃかわいい~!
緊張感あふれる闘技場を後にして、子犬たちと触れ合えるコーナーへ。

ん!?カワウソみたいなのがいるけど!?

わ~、いました!飼育員のお姉さんが子犬たちを出してくれています。
かわいい!なんかテロン、としてますよ~。
これで一カ月くらいって言ってたかな?そう考えるとやっぱり大きいですよね。

おもに子どもたちが、抱っこさせてもらったりしてましたが、私もここは遠慮してる場合じゃありません。どんどん前に行って「私にも抱っこさせて下さい」とアピール。なでてみると、スベスベでビロードみたいな毛並みです。

スーツ姿の私を見て「大丈夫ですか?」とお姉さんが気を使ってくださいましたが…。
いいんです!毛だらけになっても泥だらけになっても抱っこしたいんです!…というわけで無事抱っこさせてもらいました。しあわせ~。ほんとに一瞬の抱っこでしたが、ほんとに行ってよかったと思いました。

赤ちゃんだからなのか、寝るのが大好きだそうで、いつもこんな風に兄弟折り重なって寝てるみたいです。いっぱい寝なされ~大きくなれ~

そんなこんなで、土佐闘犬との出会いは終了。

5年ほど前のことなはずなのに、あの時のことをものすごくリアルに思い出してしまいました。ぜひまたあらためていきたいなああ。

(おわり)

土佐闘犬センター
http://www.tosa.or.jp/index.html
高知県高知市浦戸6番地
アクセス:JR高知駅からバスで30分くらい(だったような)

『この国は物語にあふれている』お伽草子展

お伽草子展に行ってきました
 ひと月ほど前のこと。「私の智恵蔵」こと歴史専門出版社Y社のできる編集者Iさんから嬉しいお誘い。 「むとうさん、物語って興味ありましたっけ?」 はいはい、詳しくないけど、もちろんお供しますよ。サントリー美術館のお伽草子展ですね!私もすごく気になっていたのです。

美しい図録!さすがサントリー美術館。

お伽草子というと、ちょっとピンと来ないかもしれませんが、子どもの頃、絵本で『浦島太郎』『ものぐさ太郎』とか『一寸法師』とか読みませんでした?あれです!あの物語たちはもともとこの「お伽草子」というジャンルのものなんですね。

お伽草子は、室町時代から江戸時代にかけて作られた、短編の物語のこと。テーマはもののけが出てくる奇抜なものだったり、庶民が出世する成功譚だったりして、多種多様です。基本的に、庶民が楽しめるようなユーモラスな物語って感じです。

一番の特徴は、そのほとんどに絵が添えられてること。図録で解説を書かれている徳田和夫さんは、擬音をたくさん入れたり、声色を変えながら声に出して読み上げてみてほしい、と言っておられます。なるほど、そんな事をしたくなるような雰囲気なんですよね。

物語は変容していく
それにしてもすごい展覧会でした。詳しくない私でもわかるような物語の絵巻や絵本がずらりと並んでいます。 まずは「お伽草子の源流へ」からスタート。『浦島太郎』の元ネタになった『浦嶋明神縁起絵巻』(重文)@浦嶋神社(京都)がどどんと登場。

おお~、これが浦島太郎の元ネタか、と思ってみてみると、あれ??なんか物語が微妙に違いますよ。浦嶋子(浦島太郎)が、海に船釣りに行って、亀を釣り上げてます。ん?確かここは、太郎ちゃんが砂浜で子供たちにいじめられてる亀を助けてあげるんじゃなかったっけ?

しかも、その釣り上げた亀が、美女に変身してますよ!そしてその美女をおうちまで送ってあげたらそこが蓬莱(常世)だった、となってます。ほおお~。これ、私が絵本で読んだときは確か、亀が恩返しに海の底にある竜宮城へ連れて行って、主人の乙姫様に歓待される…って話だったような…。解説によると、お伽草子では私の馴染んでいるストーリーに変容していったみたい。

身も蓋もないストーリー
ほかにもいろんなお話がたくさんありました。まったく知らなかったのですが『福富草紙』という物語がキョーレツでした。福富草紙のメインファクターはなんと『おなら』です。こんなお話です。

「むかしむかし。ある貧しい老夫婦がいました。鉄鈴を神様から賜る不思議な夢を見て、夢解きをしてもらうと『体から妙音が出て、幸いを得るお告げ』だとわれます。夫はお告げ通り、体から出る音=おならを出す芸を体得。それが評判になって大金持ちになりました。
隣に住んでいた老夫婦(ちょっと悪そう)は、それを羨み、夫を弟子入れさせます。『おならを出すには朝顔の実を飲むのが秘伝だよ』といわれ、さっそく服用。偉い人のところにその芸を披露に行きました。ところが、それは秘伝でも何でもなく、下剤だったのです。おならを出そうとしたら、下痢を撒き散らしてしまい…」

おいおいおーい!!なんてお話なんでしょうか(笑)。汚すぎる。っていうかおなら芸でお金持ちに、って。そもそもそこから無理があるような気がするんですけど。
Iさんのお話では、かなり有名なお話らしいんです。中世ではこういう下ネタのお話も多いんだそうです。特におならとか下痢とか、そういうの好きだったみたい。なんか小学生男子みたいw。

ばけもの(妖怪)がかわいすぎる
そんな初めて知るお話もたくさんありましたが、私が大好きなのは『もののけ』系の絵巻。有名な『百鬼夜行絵巻(ひゃっきやぎょうえまき)』(重文)も展示されてました!

図録カバーに登場している『百鬼夜行絵巻』のばけものたち。

百鬼夜行絵巻は、60以上の作例があるそうなんですが、今回展示されていた『真珠庵本』は最古の例だそうです。

昔から、「古い道具は年を経ると魂を持って変化(へんげ)する」と考えられてまして、「付喪神(つくもがみ)」とか「ばけもの」とかよびます。
「百鬼夜行」は、そんなばけものたちが夜に行列するというお話。お話といっても、絵があるだけで物語はないみたいです。何のために行列するとか、そういうのはないんですね。ただ変化して行列するという不思議さ。
うーん。なんだろう。ちょっと怖い、のかな。本来動かないものが動くってことが。 でもこの絵に出てるような化け物だったら全然こわくないぞ!むしろかわいい!

それにしても、日本人の創造力+デフォルメ力って素晴らしいですね。水木しげるさんをはじめとする漫画家の皆さんの世界にこの系譜は見事に息づいてますね。

こうして絵巻や絵草紙を見ていくと、今の文化につながってくものをひしひしと感じます。正直言って、添え書きの文章は、達筆すぎて判読できませんが^^;、絵を見るだけで十分伝わってきます。

「こうしてよく見ていくと、どういう服を着ていたかとかそういうことはもちろん、ああ、当時の人はこんな風にお風呂に入ってたんだ、部屋の中はどうなっていたのかとか、そういうこともわかるんですよ」 とIさんが言っておられました。なるほど、ストーリーだけでなく、そういう部分がまた面白いんですね。

絵巻物などは、これまで難しそうで、敬遠していましたが、もっと気楽に見ていきたいな、と思いました。よく考えてみたら、当時の庶民の人が楽しめるように絵師が工夫して書いてるんですから、私にもわかるはず!ですよね♪

サントリー美術館
http://www.suntory.co.jp/sma/
*『お伽草子』展は、11月4日で終了しました。

 

【犬スペシャル】土佐犬に会いたい①高知って楽しい

高知県への旅
土佐、高知と言われて思い浮かぶものって何ですか?そうです、カツオですよね?(いきなり脱線)

もう5.6年前のお話になります。夏の終わりごろ。高知市内のお医者さんに取材をするというお仕事が舞い込んだので、私は颯爽と美味しいカツオはどこで食べるべきか、とリサーチ始めました。
やはり、一緒に取材していただくライターの方に、少しでも美味しいものを食べていい気持ちでお仕事していただきたいし、ね。実際のところ、美味しいけどそこそこリーズナブルなお店を探すというのも編集者の大切なお仕事なのですよ…。ふふふ…

私はこういう方面では割と有能ですので、なかなかいい感じの郷土料理屋さんを発見し予約。地元の方から「塩たたきを食べるべし」との情報もゲットしました。
なんと!カツオのたたきを塩で食べるとは!さすがカツオ大国です。
#最近はこの食べ方は一般化してるのかな?当時はあまり聞かない食べ方だったのです。

もちろん出張の日程は、さりげなく土曜日に設定。そしてさりげなく自費でもう一泊宿を予約。
取材はちゃんとやりますよ。…でも、日曜、昼間の便でお帰りになるライターS氏を見送った後は自由時間です。つまり1・5日はフリータイムなわけです。
これは、あれだ!
夢の「土佐闘犬センター」に行くチャンス到来!?念のため、Sさんに「闘犬センターで土佐犬を見たり抱っこしたりできるみたいなんで、自費になっちゃいますけど一緒に行きませんか?」
とお誘いしたところ、『お前一人で行け』と冷たくあしらわれました。

今思えば、「あの竜馬で有名な桂浜に一緒に行きませんか?」といえばよかったのか…。普通はそっちの方が有名なんだし、そいで「せっかくですから土佐男の魂・闘犬も見ていきませんか?」とか言ってセンターに行ったらよかったんでわ?と今気付いた…。うーん、失敗した(笑)。

高知県は見たいもの食べたいものがたくさんなのです
しかしとりあえず、高知竜馬空港についた私たちは早速取材地へレンタカーで向かい、無事仕事終了(いや、ちゃんと仕事しましたよ。マジで)。

土佐の郷土料理が食べたくて。5年前の当時では食べログとかそういう便利なもんはなかったんですよね。隔世の感あり。

夕方には予定通り土佐の郷土料理屋さん『陣屋』にて塩たたきにありつきました。いや~、これ美味しいんですけど、カツオが新鮮じゃなかったら無理だわ。塩が容赦なく素材の味を引き立てますので、少しでも臭みがあると多分相当ダイレクトにきます。
ほかに、ニシ貝の焼いたのとか、サバすしとかたくさんいただきました。
#なぜか料理の写真撮るの忘れてた^^;

同行者のライターSさんは、あすの午後一の便で東京に戻りますが、それまでちょっと時間があります。
ここまできたらやはり、高知名物・日曜朝市にいかねばなりますまい!もちろん高知城にも。

日曜朝市、半端ないです!
高知県の日曜朝市はなんと1690年から続いているという歴史ある朝市です。300年もずーっとやってるんですねえ。すごいなあ(もっとも日曜日に開催となったのは明治維新以降でしょうけれども…)
こういうときの私はばっちり早起きできます。6時に起きて支度をし、ライターさんを起こして一緒に朝ご飯を食べて7時半にはホテルから朝市に向かいました。 高知市追手筋というところで、約1・3キロメートルにわたりお店が所狭しと並んでいます。
とりあえず、おお!アサヒガニ発見!(写真一番左・中央下)。
あと、なんだろう、ガザミかなあ。やたら美味しそうなカニも茹でて売られてますよ。ああああ、朝ホテルでご飯食べなければよかった~~
それに、このアユ、見てください!こんなにプリップリで美しいアユがひと盛1000円ですと!

そのほかにも、これでもかと美味しそうな物が売ってましたが、とりあえずおばあちゃんが売ってたお寿司とあんこの入ったお餅を買って食べながらそぞろ歩き。
買いたいものがたくさんでしたが、何しろ生ものは日持ちがしないので、あきらめてお城へと向かいました。

高知城、いいわ~
さて、高知城です。こちらは本丸の建物がごっそりと建造当時のまま残る、全国でも唯一のお城。重要文化財に指定されています。
おおお。かっこい~!そいでもってここの天守閣からの眺めがまた格別でね。
ふは~~。いい気分です。
高知というと、幕末が有名ですが、それ以外にもみるべきものがたくさんありますね。満足して疲れ切ったSさんを空港までお送りして、いよいよ一人で念願の土佐闘犬センターです。わあ。どきどきするなあ。
(土佐犬に会いたい②大志を抱きたくなる桂浜と闘犬に続く)