仏像ファン必携!!神仏探偵・本田不二雄氏の最新刊登場!『怪仏異神ミステリー』(王様文庫)

日本のお寺にお参りすると、たくさんの仏像に拝観することができます。

本堂にはご本尊。ご本尊の左右には脇侍、周辺には眷属の神々。さらに境内にはいくつもお堂があって、それぞれに尊像が祀られている……。

その姿が実に多様なので、いろんな姿があるんだなあと思われるかもしれません。しかし実は、その姿がどんな容姿でどんな持ち物を持っているかなど、細かな決まりがあり、それにのっとって、造像されているのです。

しかし、その「決まり」に当てはまらない神仏像というのが、あるのです。そんな異形の神仏像を紹介して、仏像ファンに衝撃を与えたのが、本田不二雄大兄が2012年に上梓された『へんな仏像』(学研パブリッシング)でした。

私も、各地の仏像にかなりお詣りしてきたと思っていましたが、「なんだこれは?」としか言いようのない、びっくりするようなお像が紹介されており、度肝を抜かれました。

私事で恐縮ですが、今や「大兄」と慕い、妹分を自称していますが、実は本サイトで『へんな仏像』をリコメンドさせていただいたところに、本田大兄がコメントをしてくださったというのが、ご縁の始まりなのです。

その後、いろんなお寺に一緒に参拝したり、教えていただいたり、密教の本を一緒に書かないかと誘っていただいて上梓したり……と、優しい大兄には、本当にお世話になりっぱなしでいます。

そんなわけで私にとって『へんな仏像』は、思い入れの強い一冊なのですが、その名著が加筆修正・再編集してバージョンアップし、三笠書房さんの王様文庫より『怪仏異神ミステリー』として、出版されました!!

文化財に指定されているようなお像ですと、科学的分析や研究がなされていたり、それがなくても地元に伝承がたくさん残されていたりしますが、大兄がご紹介する像の中には、地元やお寺の方も「なぜ?」としか言いようのないお像もたくさん含まれています。

まさに「神仏探偵」の面目躍如。「なぜ、そんなお姿なのか」という問いに、大兄の博識と豊富な経験から、推理の翼をはばたかせて、読み解いていかれます。その世界は実に多様で濃密。そして本当に豊かです。

ちなみに、私にとって、最も印象深いのは、南房総市・真野寺の「覆面観音」です。観音菩薩像が面をしているという、不思議な像容なのです。

観音菩薩は、特に慈悲の化身として大人気の尊格ですから、基本的に慈悲深く、優しい菩薩です。しかし、このお像のは、霊験力が強すぎて、参拝者に邪念があると非常に強い仏罰を与えたんだそうです。これは、観音さんのイメージから、相当隔たりがありますよね。

そして、その強すぎる霊験力を和らげるために、行堂面をかぶせたところ、優しく慈悲深いほとけになった…というのです。

なるほどね~、といったん頷いてしまいますが、やっぱり、いろいろとおかしい。慈悲の化身・観音さんが、荒ぶる神のように表現されています。これではあべこべです。例えば、霊力の強すぎる神像があって、その力を抑えるために、観音さんの顔の面をかぶせたところ、優しいほとけになった…というのなら、つじつまが合うのですが……。

さて、神仏探偵の推理や、いかに!?

このほかにも、数多の「怪仏異神」が紹介され、推理されています。ぜひ、お手に取ってその濃厚な世界を味わってくださいね! 仏像ファン、必携ですよ~!

          * * *

さて、そんな大兄のイベントに、お呼びいただきました!

8/26(土)19:00~ Readin’ Writin BOOK STORE (最寄り駅:田原町)
「神仏探偵」は、いったい何を探偵しているのか? 『縄文神社』の筆者とともに語り合う 神仏世界の歩き方 | Peatix

お席の方は、ありがたいことに満員御礼とのことですが、オンライン視聴も販売されています。ご興味のある方は、ぜひのぞいてみてくださいまし!

新刊『怪仏異神ミステリー』をはじめ、『ミステリーな仏像』『神木探偵』『異界神社』(駒草出版)について、いろいろとお話うかがうとともに、武藤の『縄文神社』のお話もさせていただく予定です。神仏の濃ゆいお話で盛り上がると思いますので、ぜひお楽しみに!

(むとう)

神仏探偵・本田不二雄さんの最新作登場!『地球の歩き方BOOKS旅の図鑑シリーズ 日本の凄い神木』

(写真をプッシュするとAmazonの該当ページにジャンプします)

『地球の歩き方』シリーズと言えば、海外旅行に行く際には必ず買う名旅本シリーズですが、一年半くらい前に、「旅の図鑑シリーズ」という面白コンセプトのレーベルを立ち上げられました。

今年は春ぐらいには、オカルト名門雑誌の『ムー』さんとのコラボで、『異世界(パラレルワールド)の歩き方 ムー』を出版され、大ヒットになりましたね。目の付け所が、さすがに素晴らしいなあと、感心しておりましたところ、やはりその選択眼は我が大兄こと、神仏探偵・本田不二雄さんへと向かわれていたのでした。

私もワクワクしながらページをめくりましたが、ひゃ~!すごいです!!!

一言で言って、他の追随を許さないまさしく「ご神木の決定版」。第一に、全国を網羅してます。これは大変な偉業! 日本中の皆さんが、身近なところから会いに行けますよ!

そんなわけで、私は何はともあれ、【関東】のインデックス…我が埼玉のご神木から読み始めてしまいました(小口に、地域ブロックごとのインデックスがあるのです)。特に上の左ページのご神木には、本田さんと一緒に拝見しに行ったところだったので、採用されていてなんかうれしい。こちらの巨木も素晴らしいご神木でした。

それにしても読みやすく、分かりやすいデザインでいいなあ。写真もオールカラーで美しい!さすが、地球の歩き方シリーズですよね。各ページにアクセスの手段も書かれてますので、ガイドブックとしても使いやすいです。

このように、あくまでも旅をする目的で、地方ごとに見ることもできますし、もちろん最初から順に読んでいくのも、めちゃくちゃ濃い世界で圧倒されます。

「ご神木とは何か」という導入から、まずはもう問答無用の凄すぎるご神木を「驚異の樹神七柱」と題して、巻頭グラビア(言い方あってる?w)へ。

そしてご神木の基礎知識として、樹種の特徴、用語などもさらさらっと、書いてくださってるので、これだけ頭に入れて、ご神木を拝見しに行ったら、なんかもう、「相当詳しい人」になれてしまうという感じ。さすが本田さん。

さらに至れり尽くせり…と思ったのは、最後に樹種の索引が載っていること!全体の構成と、この索引により、場所によって、樹種によってご神木をサーチできます。

また、このご神木がどういうものかをまずは端的にとらえるために、【魂を抜かれるほどの巨樹は「巨」】、【神社・寺院境内のご神木は「聖」】……といったように、キーワードを記号化していて、特徴をわかりやすく伝えてくれています。

その分け方の中で、私的にすごくぐっと来たのは【山の王、森のヌシと出会う…「主」】というキーワード。これは、本田さんがよく言っておられるワードなのですが、私も神社仏閣などを巡礼している中で、そういう感覚は「わかる~~~!」と思うのです。

本当にそう思うんですよね。「この地を統べるのは、この最も古い生き物・この巨樹なんだ」と。そんな存在に圧倒されているとき――変な言い方ですが、それは決して嫌な圧ではないんです――大いなるものと出会って飲み込まれて、続いて自分の中で開かれていくような、そんな気持ちに満たされるのです。

最後に本田さんが下さったお手紙の一節を、一部抜粋させていただきます。

「…実のところ、巨樹・神木のもつナニモノかを言葉で語ることは極めて難しいことなのですが、私たちはその出会いを通りて様々な気付きを得ることができます。
 まずはその大きさと佇まいに圧倒され、力強さを実感し、その木が体現する途方もない時間を感じ、その形状に秘められた不思議に思いを巡らせ、それを育む土地がどんな場所であるかを知り、その木を祀ってきた人々の思いに触れ、そこで語られてきた物語と出会う。こういった一連の出会いを経ることで、われわれの心のうちに巨樹・神木が確かな存在感として根付いていくことでしょう。(略)
 この「大いなるいのち」との出会いこそ、今この時代に生きるわれわれにもっとも求められていることかもしれない。そんな風にも思うのです。
 この国の「物凄い」ヌシと、ぜひ出会っていただけたらと願います」

ぜひぜひ、皆さんもお手に取ってみてください!
そして「ヌシ」に会いに行きましょう!

(むとう)

本田不二雄さん監修の『仏像列島』(宝島社)発売中!

書影をクリックするとAmazonにジャンプします。

神仏探偵こと、本田不二雄さん監修のムックが、宝島社さんより発売されました。

一般的に、仏像の本や雑誌の特集などに登場するお像は、国宝や重要文化財などの国指定文化財が多く、どうしても重なっていると思います。それを悪いことと言いたいわけではありませんよ。重なってしまうのはしょうがない面がありまして、限られた紙数で紹介できるお像は、かなり絞られますし、最も王道でオーソドックスなものをまずはご紹介して…となるのは、当然と言えば当然なのです。

しかし、日本は世界でも類を見ない「仏像大国」です。国宝や重文に指定されていなくても、素晴らしいお像がたくさんありますし、地元の皆さんとの関係性が、涙が出るほどステキなお像もたくさんあります。このムックには、そんな魅力あふれる仏像が、これでもかと紹介されています。神仏探偵によるセレクションですからね。カバーデザインを見ても一目瞭然だと思いますが、一筋縄ではいきませんよ~!

第1章 厳選 日本の美像
第2章 感動の虚像と大仏
第3章 唯一無比の異形像
第4章 謎めく容貌の仏像ミステリー
第5章 全国のすごい仏像

という章立て。ランナップを見ますと、なるほど、さすが本田さんだなあという面々です。知らない仏像もご紹介されてました!中でも印象的だったのは…

山形県鶴岡市・瀧水寺大日坊の「波分大聖不動明王立像」。上のページの左を見ていただけたらと思いますが、大日坊にこんなお像があったとは!?とびっくりしました。

私も何度かお詣りしておりますが、記憶があいまい…。思い返してみると、大日坊さんと言えば、即身仏・真如海上人がいらっしゃるお寺として有名です。私も鶴岡の即身仏を拝観したくて訪れたのでした。そのため、他の尊像の印象が少し淡くなってしまっているのかも。

いずれにしても 「波分大聖不動明王」とは……。

本文を要約しますと、不動明王が持つ剣(不動明王の力の分身とも考えられる「 倶利伽羅剣」)は、絵画で表わされることが多いものの、本像は珍しくそれを立体化したものだとのことです。 倶利伽羅剣自体は立体化されることもそんなに珍しくないのですが、このように龍が剣先を咥えている様子のものは、観たことがないです。これは珍しい。

ちょっと調べてみますと、湯殿山信仰ならではの尊像と考えたほうがよさそう。大日坊は、湯殿山信仰の中心地であったお寺さんですが、 「波分大聖不動明王」という尊名は、行の中にあらわれる湯殿山信仰ならではの、不動明王の一形態のようです。

他にも気になるお像がたくさん掲載されていましたが、どれもこれも一筋縄ではいかないようなお像ばかり。早速参拝したい仏像のページに付箋を貼りました。

それにしても、見たいものが多すぎて困っちゃいますね。生きているうちにどれだけ参詣できるでしょうか。

仏像とは、日本文化の結晶であり、日本史の証言者、地域の人々が繫いできた心の宝物であると私は考えています。本ムックで本田さんがご紹介されている仏像はまさにそんな宝物です。ぜひ皆さんにも、本ムックをご覧いただいて、豊かな「仏像列島」日本を、もっともっと堪能していただきたいと思います。

(むとう)