イシブカツvol.9 東京真ん中編③大倉さんちの石もの(大倉集古館)

イシブカツ

あの ホテルオークラの一角に…
根津美術館から、表参道駅を経て溜池山王駅へ移動。溜池山王駅からアメリカ大使館の前を抜けてホテルオークラを目指します。

実は以前勤めていた会社が一瞬この界隈にあったので、この辺りはなんだか懐かしい思い出の地でもあります。アメリカ大使館の前はいつも重々しい雰囲気でね。会社の同僚がよく職務質問されてましたっけ(遠い目)…。

それはともかく、ホテルオークラの一角に、お目当ての大倉集古館はあります。
こちらは、日本で最古の私立美術館。大倉財閥の創設者である大倉喜八郎さんが設立した美術館です。

こちらの外観、なんというか…。ものすごくエキゾチックなんですよね。「外国人が考えた日本」みたいな雰囲気の外観。不思議な場所です。
大倉集古館こちらの設計、なんと伊東忠太さん!あの築地本願寺の建築家です。

あのあまりに振り切ったデザイン、日本というかアジア、みたいなダイナミックさはこちらのデザインにも健在。正直言ってベタベタです。こってりです。
大倉集古館前方の回廊にはこれでもかと仏像やら何やらが無造作に置かれています。手前の普賢菩薩、や如来坐像は清朝の仏像だそうですよ。
この無造作感がまたなんかアジアっぽい。バンコク博物館とかこんな感じです。

石ものは外に、無造作に
さて、今日の私たちは石部の人。当然(残念ながら?)館内には入りませんよ!
館内には、とってもいい感じの北魏時代の如来像(重文)もありますし、有名な国宝・普賢菩薩騎象像もあります。そのほかにも、絵巻物とかいろいろ要チェックなものもたくさんありますが、今回は、外にある層塔を狙い撃ちで見に来た、のであえて観ませんよお^^;。

さて、そんなわけで、石ものを見るだけでしたら入館料も必要ありません。リーズナブルです。
こちらにはさほど広くはない建物の周囲に、いろいろおいてあります。
かなり大胆な配置かなり限られたスペースにたくさん置かれてます。青銅器や焼き物の塔なんかもわらわらと。
その中で気になったのがこの手前の…
華表この謎の石もの。側面の線刻が可愛い!
後で調べてみましたらこれは「華表(かひょう)」というものだそうです。中国の建築様式で用いられる「標柱」(出入り口のところに置く目印みたいな柱)とのことですが、これはだいぶ背が低い。部分ってことでしょうか。

高麗時代初期の五重塔
さてさて。こちらで有名なのは高麗時代の石塔です。古い順で行きますと…
石塔まずはこちらの石塔。おおおお、かっこいい!!
大倉集古館の収蔵品図録『大倉集古館500選』によりますと、高麗時代初頭、10~11世紀ごろ、とあります。日本でいうと平安中期ごろ。藤原時代初期ぐらいの塔です。こちらはどっちかというと新羅系の仏塔のテイストですね。

新羅というと、5年ほど前にちょろりといった仏国寺(@現在の慶州)にある、こちらの塔、
仏国寺三層釈迦塔五層、三層の違いはありますけど、なんかちょっと空気感が似てませんか?
三層釈迦塔と呼ばれる塔で韓国の国宝です。時代はもっとさかのぼって新羅統一時代のものなので、大倉集古館の塔よりおそらく一・二世紀さかのぼりますけど…。

ううむ。これはいいですね。
三層釈迦塔まではいかないですけど、十分に風格のある美しい塔です。石塔ちょっとディテイル観てみますと、この塔がとても丁寧に作られていることがわかります。美しいですね。
石塔この笠、いいわ~~。すごいきれい!
反りもなだらかで、ふわっとしてます。品がありますね。いいですね~!

石造センパイもかなりお気に召したご様子。夢中で写真を撮ってます。

高麗中期の八角五重塔
八角五重塔
こちらは、もう少し時代が下って、高麗中期とあります。ネットでいろいろ検索してみますと、こちらの塔は現在のピョンヤンにあったもののようです。

この塔の特徴はやはり八角形だということと、基壇が連弁だということでしょうか。柔らかい感じのよく出た美しい連弁です。

でも、好みで言いますと、やっぱし前者の塔のすっきりした感じが好きかな~。

それにしても、これだけ素晴らしい石塔を日本にいながら見ることができるとは。しかも屋外にあるので無料!かなりお得です。

さて、そしていよいよ椿山荘へと向かいます。

大倉集古館
http://www.shukokan.org/