”深海生物”。その奇妙で、あまりに魅力的な世界!/特別展『深海2017』@国立科学博物館(7/11-10/1開催)

これまでの編集者人生を振り返ってみて、後悔することは数限りなくありますが、その中でももっともヌヌヌヌ…という気持ちになるのは、ある本の出版権を一歩の差でとることができなかったことなんです。

その本は…

『The Deep』クレール・ヌヴィアン著

この本です!!

く~っ。今思い返しても悔しい。

実は、この本の存在を教えてくださったのは、カイメン学者のIさん。
たまたまこんな本が出たんですよ、と見せてくださって、私は一瞬にして釘づけになりました。
英語はよくわからないので、Iさんに、「わわ!?なにこれ、めちゃくちゃきれい!これはなんていう生物?」と一つ一つ教えていただきながら(贅沢!)、拝見したんです。

いやあ、ほんと。興奮したなあ。
だって、本当にきれいで面白いんですもの。

すっかり興奮した私は、翌日出社して上司にこの本のことを話しました。
まだ出版されて数カ月、版権をとってこの本を出版できないでしょうか?とモジモジ言う私。上司は、私の何倍も海洋生物を愛している人なので、「すぐ電話しろ、すぐすぐ!」と背中を押してくれました。

しかし。

タッチの差で、ほかの版元さんと契約交渉が始まってしまったことが分かりました。そして、その後契約もされたとうかがい、本当に、本当にがっかりしてしまいました。

はあああ。

今もこの写真集を眺めては、そのことを思い出し、ちょっと悲しい気持ちになるのです。

それから、早いもので10年が経ちました。
その後、日本中に深海生物ブームがやってきました。沼津に深海生物専門の水族館ができたりして、すっかり定着したような気がします。
というわけで、『深海』と思いうかべただけでここまで前置きが長くなってしまう私なのですが、ここからが本題です。

いよいよ来月11日から『深海2017』展が開催されます~!いえ~!

前回の『深海』展ではとにかくダイオウイカ推しだったような気がしますが、今回は「生物発光」「巨大生物」「超深海」にフォーカスして構成してるんだそうですよ。

ぜひとも観に行かねば!ですね!!

私は、夏休みはちょっとはずしたいので、9月になってからみに行こうと思っています。

特別展『深海2017』@国立科学博物館
会期:2017年7月11日~10月1日

6月23日は「慰霊の日」――沖縄に思いを馳せる日

沖縄県民、そして沖縄を愛する人はよくご存じだと思いますが、今日は「慰霊の日」です。

太平洋戦争でアメリカ軍が沖縄に上陸、「沖縄戦」を開始したのが1945年4月1日。
6月23日に、日本帝国陸軍第32軍司令部が自決したことをもって、組織戦の終結とし、「慰霊の日」として、アメリカ施政下にあった琉球政府が定めた記念日です。

1972年に本土復帰となり、一度法的根拠を失いましたが、1974年に沖縄県が条例で、改めて「慰霊の日」と定めたとのこと。沖縄県では、この日には、死者を弔い平和を願う式典が開催され、各局各新聞で特集・特番が組まれます。

しかし、私は沖縄に通うようになるまで、この記念日を知りませんでした。

それも偶々、この時期に沖縄を旅したことがあり、町中が祈りに包まれている様子を見て、それで知ったんです。そんな大切な日を私は知らなかったのか…と、心の底から自分にがっかりしたことをよく覚えています。

「終戦の日」は、8月15日。これは皆さんよくご存じかと思います。

しかし、あの悲惨過ぎる沖縄戦が終わったとされる日、「6月23日」のことは、沖縄以外にいますと、知らないままでいることも多いと思います。

でも、私は、知ることができました。
以来、この日は私にとって「沖縄を思う日」になっています。

何ができるというわけではありません。
しかし、「知る」ということ、「忘れない」ということ、「思う」ということが自分にできる唯一のことではないかと思います。

あの美しい島の大地には、今も、真っ白な悲しい骨がたくさん埋もれているのです。そのことを思いたいと思います。

どうか、どうか、魂の安からんことを。

日タイ修好130周年記念特別展「タイ~仏の国の輝き~」展 @東京国立博物館(7/4~8/27)

実は、一年間だけバンコクで生活していたことがあります。もう6年前のことになってしまいます。
内乱が起こったりしていろいろ大変でしたが、今となると良い思い出です。

タイ語の学校に通いながら、時間を見つけてはお寺を見て廻りました。クルンテープ(バンコクの現地の呼び方)は1782年に作られた新しい都ですので、日本人の感覚ですと古いものはあまりありません。
でも、篤い仏教国らしい素晴らしい寺院が無数にあり、時にはお祈りや瞑想に混ぜてもらいながら、穏やかな時間を過ごさせていただきました。楽しかったなあ。

(写真は有名なワット・ポーの涅槃仏)

当時、バンコク国立博物館では、大々的な改修が行われていたように思います。日本の九州国立博物館の協力がかなりあったのかな?という記憶が(そんなポスターが貼ってあったんです)。
正直言って、展示方法は相当にざっくりしていて説明もほとんどなく、もったいないなあ、と思っていましたので、九博さん、ぜひどうにかしてください!と陰ながら声援を送っておりました。

さて、そんな豊かな文化交流のひとつの成果なのでしょうか。今年はかなり大々的なタイの仏像を見ることができる展覧会が開催されます。

(4/11~6/4)九州国立博物館

(7/4~8/27)東京国立博物館

九博さんのほうはもう終了してしまってますが、東博さんは来月の開催です。

私的に楽しみなのは、タイ最初期の王国ドヴァーラヴァティー(モン族、6~11世紀ごろ)、シュリーヴィジャヤ王国(マレー系、タイ南部・7~15世紀)の仏像などが展示されるあたりですね。どれだけ見せてもらえるのかな~っと楽しみです。

もちろん、スコータイ王国(13~15世紀)のものも楽しみです。スコータイは、タイ族最初の王朝ですので、このあたりからいかにもタイ族らしい仏像が造像されているような気がします。

ぜひ皆様も、足を運んでくださいね~!