悩んでいいんだ。悩んだ数だけ女は輝く――。『「悩み」と向き合える女性は、うまくいく』/文美月著(KADOKAWA)

悩み多き日々を過ごす全ての人へ

仕事をしていると、いえ、それだけじゃないですね、「生きている」と悩みはこれでもかと湧いてきます。私も、根がビビりで心配性なので、メール一本送るだけでも、ドキドキしてしまいます。それがどんなに仲の良い人でも、です。仲の良い人でも、読み違い伝え違いは起こるくらいですから、あまりよく知らない方なんでもう、どうなってしまうことやら…(くよくよ)……

仕事も、勤め人だったときにも、もちろん悩み事は多かったのですが、フリーになってからの悩みはまたひと味違います。
一番大きな違いは、同じ立場に立って、相談できる人がいないということ。
会社にいるときでしたら、たとえば、上司にこういう判断で間違っていないかを確認、相談することもできますが、フリーになりますと、そもそもお仕事先にそういう相談をしてもいいのか、なんてところから「判断」しなくてはならなくなります。

悩み量産型の私としては、こんなに悩みが増えてしまうというのはかなりの負担なのです。
フリーになるまではわからなかった悩み方です。しかし、自営業ですから一応経営者ともいえます。頑張らないといけません……。
それに、一応女として生まれたからには、私生活のほうも頑張りたいところです。独身ですし子供もいないけど、これからの人生、楽しく豊かに一緒に歩いていけるパートナーは、やっぱりほしいです。うーん、我ながら悩み満載ですよ!

さて、そんな悩み多き私にとって、まさにドンピシャな本が出版されました。

20151124

担当させていただいております畠山健二先生のイベントで先生にご紹介いただきました、文美月さんの処女作です!!

文さんは、ヘアアクセサリ製造販売「リトルムーンインターナショナル株式会社」の創業者で、大注目の女性経営者でらっしゃいます。本書では、その経営者としてのお話し、そして在日コリアンとして悩みながら歩まれてきたその半生を、力強く書かれています。

私は、文さんと同じような体験をしたわけではありませんが、子どもの頃、理由もないまま、長い期間いじめられていた経験をふと思い出しました。
何をしたわけでもないのにイジメられる不条理さ……。そのために、なかなか自己肯定できず、自分は世の中に受け入れられないのかな、という一種のあきらめを持って中学生まで過ごしました。
なので、文さんのアイデンティティに悩まれている姿を文章で拝見すると、ものすごく共感するのです。

『「悩み」と向き合える女性は、うまくいく』というタイトルはもちろんのこと、
(私はこのタイトルを見て「ほんとですか、マジですか、私、私、チョー悩み一杯でしかも逃げられなくて正面から向き合って玉砕してます!ってことはうまくいきますか??!」と心の中で叫んでしまうほど、ぐっと心をつかまれましたw)

胸にしみる言葉がたくさん出てきます。

『やらないことを決めると、自然と「やるべきこと」が残ります』
『ポジティブな環境に身を置く』
『いのちの使い方を考えてみる』

上にあげましたのは、そのごく一部ですが、とても分かりやすい言葉でときに優しく時に厳しく(?)書いておられます。人としても、また仕事人としても、ぐぐぐっときます…。

本書は、ビジネス書とも言えますし、人生の指南書とも言えます。

仕事をしている人、専業主婦の人、学生の人にも、つまり全女性におすすめです。それから、男性にも読んでほしいなあ。女性には男性にはない悩みや壁があったりするだということを、知ってもらえると思います。

ぜひ、お手に取ってみてくださいね~!

(むとう)

愛犬との生活は悲喜こもごも。本当の「人生の豊かさ」って!?『愛犬と「幸せ家族」になる方法』/安藤一夫著(PHP文庫)

犬の気持ちをちゃんと受け取り、人の思いをちゃんと伝えるために
思いを込めて編集を お手伝いさせていただいておりました『愛犬と「幸せ家族」になる方法』という一冊が、いよいよ本日発売になりましたのでご報告させてください!

著者の安藤一夫さんにとって、本書は処女作。

安藤さんのプロとしての的確なアドバイスはもちろんのこと、そのお人柄のチャーミングさ、そして愛情深さをできるだけ率直に読者の方に体感いただけるように出来たらいいな…と願いながらお手伝いさせていただきました。

安藤さんは、大阪は豊中市でドッグサロンを経営されてる「犬のプロフェッショナル」。そして、ご自身も三匹のわんちゃんの飼い主さんでもあられます。
だからこそ、犬の気持ち、飼い主の気持ち、両方がとてもよくわかっておられるし、「意外と勘違いしてること多いねんで」とおっしゃいます。

「犬の気持ちをちゃんと受け取れるように、飼い主さんの言いたいことも、ちゃんと犬たちに伝えられるようにできたらええなあ」
最初の打ち合わせの際、安藤さんはそんな思いを話してくださいました。

「そばで見てると、ようわかんねん。本人たちが幸せならもう何もいうことないんやで、もうそれでええやん。せやけど、ちょっとしたことでもっともっとお互い楽になって幸せになれる、思て…」

大好きだからこそやってしまう「読み違い」「勘違い」。
ある、あるなあ、ありますよね!?
これって実は、犬と人の間だけで起こることでもないですよ。人と人の間でも「読み違い」は起こります。こんな読み違いは、長年連れ添った夫と妻の間にも、あったりしますよね。

安藤さんは、時に人間同士の例を巧みに上げつつ、犬の気持ちが本当はどうなのか、飼い主の思いはどう伝わっているのか、を笑いたっぷりに解き明かしてくださいます。

20151104-1

面白い。でも涙が止まらない!
そして、本書の真骨頂は、思いもよらぬ部分で現れました。
安藤さんは、関東生まれの私などからしたら「笑いのエリート」。大阪の笑いとはここまで計算されたものなのか!?すごすぎる!…と思っていたので、本書の個性は、「犬のことをちゃんと学んでいけるのに、大笑いしながら読めてしまう」という点じゃないか、と思っていたのです。

ところがところが…

PART5で、「老犬介護」についてぜひ書いてください、とお願いしていたのですが、それまですらすらと書き進めてくださっていた、筆が止まってしまいました。

「ごめん、武藤さん。書かれへん。考えるだけで辛い」

安藤さんは、身体の大きな、いかにも男性らしい方なんですが、同時にとても情にあつくて涙もろい、優しい方なんです。
私たちがそんな風にお願いしたとしても、犬のケアのプロフェッショナルとして感情を切り離して言葉は悪いですが無難にさらっと書くこともできたはずです。でも、そんなこと、安藤さんにはできないのです。その気持ちが、すごくよく伝わってきました。
だけど私も編集長も、だからこそ書いてほしいとお願いしました。「そのつらい思いは、全飼い主さん共通の思い。それは絶対に読者の皆さんの心に響く」。そう感じたからなのです。

辛いとおっしゃる著者に、私たちも酷なことをお願いしていました。でも、安藤さんはまさに身を絞るようにしてPART5を書き上げてくださいました。そしてできあがったPART5は、簡潔ながらもぐっと心をつかまれる、本当に素晴らしい章になったと思います。

そして、ダメ押しはエピローグ、そしてあとがきです。

安藤さんは、「エピローグ お別れの時」で、突然逝ってしまった愛犬しじみちゃんのお話を書いてくださいました。その時の恐怖感、絶望感。もっと何かしてあげられたんじゃないか……、という後悔の念。
その大きな悲しみは、犬を同じように失ったことのある私、さらには犬を飼ったことがないという編集長の心をも激しく揺さぶりました。

一応、私たちは「読む」プロです。ですから、もう少ししっかりと、冷静になって読まなくちゃ、と思うんですけど、どうしても、何度読んでも涙が湧いてきてしまうのです。

「何度読んでも、涙が出ちゃうよ~」

N編集長がそうおっしゃっていたのが、本当に印象的。そして、それを聞きながら私までもらい泣き、さらに安藤さんにお伝えしながら二人で大泣き……なんなんでしょうか。これは!??

私は本書を担当させていただいて、犬たちだけでなく多くの方々と、心を込めて関わっておられる安藤さんの「豊かな人生」を感じました。

愛犬との生活は悲喜こもごも。一緒にいる喜び、いなくなってしまったことへの悲しみ。
豊かな人生とは、そんなたくさんの思いをたくさん経験していくことなんじゃないか、そう思いました。そしてともに味わう存在がいるとなお深いんだなあと。その存在というのは、犬でも人でも同じことですね。

ぜひ、皆さんにもお読みいただき、そんなことも考えてみてくださったらうれしいなあ、と切に思います。
ぜひぜひ、お手にとってみてくださいまし!

(むとう)